人事の課題解決にはデータに裏付けられた対応が不可欠
――CYDASを利用している企業が抱えている人事の悩み・課題は何でしょうか。
当社のユーザーには大手企業が多いのですが、「自社で働いている人の情報がないこと」が問題になっています。もちろん、入社時に登録された基礎情報はあります。しかし、人事に関して何か施策を打とうとしたときに、判断材料として使えるデータがないのです。
たとえば、残業が多いかどうかは勤怠管理システムを見ればわかりますが、そこで多くの会社は単純に「では残業を減らせ」「一斉退社日を設けよう」といった対応になりがちです。しかし、それでは仕事自体は減らないので、他のどこかにしわ寄せが来るだけです。
本当に残業を減らそうと思うなら、「そもそもなぜ残業が必要なのか」という業務の課題から明らかにしなくてはなりません。ところが、そのためのデータがないのです。そして、「集めようとしてもどうしていいかわからない」というのが、大手企業の人事担当者に共通する悩みになっています。
――原因究明をしようにも、その元になる事実、つまりデータがなければ動けませんね。
人の情報がないということは、適材適所の配置ができないということでもあります。新事業を立ち上げるときなども、目的にあった人材が社内のどこかにいるはずなのに、わからない。結局知っている顔ぶれから担当者を指名してしまう。本当は適任の人が手がけるほうが効率も上がるし、その社員自身のモチベーションアップにもなるのに、お互いにもったいない。
同じ仕事をいつも同じ人に頼むという傾向も見えます。そのほうが早くて安心なのはわかりますが、人材育成の観点からは問題です。頼まれない人はいつまでも新しいスキルや経験を得られず、頼まれる人との格差が広がるばかりです。
――多少の手戻りや質の問題は人材育成のコストの内と考えて、あえてふだんとは違う人を起用する覚悟がマネージャーには求められてきますね。
よく「イノベーション人材が欲しい」と言われますが、イノベーション人材というのは教育して育つものではありません。また、成長企業の経営陣は、若いころに修羅場をくぐってきた人が多い。異動経験も多く、肌身で感じ取ってきたさまざまな経験が、経営の実力になっているのです。だからこそ、多少の失敗は覚悟の上で、社内の人材には実際に経験させなくてはならない。成長している会社の経営陣や人事担当者は、そこを意識的に実践しています。
――適任者を探す、経験を積ませるべき人材を見つけるといっても、全国展開や多店舗展開している企業では、どこにどんな人がいるかを把握するだけでも大変です。
マネージャーの視野を越えて潜在的なマンパワーを見える化するには、人材のデータを的確に管理するツールが不可欠です。当社の「CYDAS HR Profile Manager」はいわばそのためのデータベース機能を提供するアプリケーションで、社員の顔や名前はもちろん、スキルや経歴、過去の評価などを一元化し、一目で検索・把握できるため、目的に応じた人材をすぐに発見できます。
――これまでデータの可視化というのは、専門知識を持ったスタッフがいない企業にとっては、なかなかハードルの高いテーマでした。
今まで、企業の人材データというのは、ほとんどが蓄積されたままの「宝の山」でした。しかし、それらを生きたデータにするのに、専門家をわざわざ雇うのは大きな負担です。余計なコストをかけずに誰でも簡単にそのハードルを乗り越えられる仕組みを提供したいというのが、Profile Managerを開発したそもそもの狙いでした。