ピープルアナリティクス専門BI[1]「Panalyt」を提供するシンガポール企業Panalyt Pte. Ltd.(以下、パナリット)は、カオナビからの出資を受け入れたことを発表した。同出資は、カオナビがスタートアップ企業へ支援プロジェクトとして立ち上げた「カオナビ NEXT FUND」によるもの。
日本では昨今、グローバル化・デジタル化・少子高齢化といった社会・経済環境の変化や、働き方改革の加速、急速なリモートワークシフトも相まって、人材マネジメントに対する企業ニーズが増加している。他方でヒト・モノ・カネ(・情報)が重要な経営資源と言われているものの、ヒト(従業員)の領域では様々な理由で、データの活用やデータに基づく意思決定が相対的に進んでいなかった。
このような中、パナリットはPanalytを通じて組織の健康状態に対するKPIや示唆を提供することで、あらゆる組織・人事の課題に対し、経験や勘だけに頼らない最適な意思決定をサポート。カオナビとは、すでにサービス連携やAPI連携を実施しているが、データの価値を最大化することで、より多くの企業における人材の最大活用やヒト(従業員)の満足度・幸福度の向上に貢献できるよう、今回の出資を受け入れたという。
なお、日本のHRテクノロジー業界では、多様な「人事領域」(次図の縦軸)に対して、大きくは3種類の提供価値(次図の横軸)のいずれかを有する企業・サービスが急速に増えているという。
2020年までに隆盛したHRテクノロジーの大部分は、人事領域の一部の業務を効率化(=川上領域の部分最適化)したもの。他方でパナリットが根ざしている、HRにおける意思決定の効率化(=川中領域の全体最適化)の領域は、営業・マーケティング・財務など、HRと隣接する他のB2B業界と比較すると市場化のスピードは遅行している。
他のB2B業界では、川上・川中・川下領域に位置する企業・サービス同士が連携を強化することで、業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展しただけでなく、データを基軸とした新しい産業やサービスの創出の原動力にもなっている。HR業界でも同様にDXを加速化させるためにも、パナリットでは、高いUI・UXを誇る川上・川下領域の企業・サービスとの連携を、引き続き強化していくと述べている。
注
[1]: BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業内に蓄積された大量のデータを集計・分析し、KPI等を表示させることで、迅速な意思決定を助けるためのツール。企業の健康状態を客観的・俯瞰的に可視化して捉え、改善の方向性を示唆することが可能。