学ぶ人がいる組織をつくる3つのポイントとは
「最も長く時間を共にするあなたの周りの5人の平均があなた自身である」
“You are the average of the five people you spend the most time with.”
アメリカの起業家で、モチベーターでも知られるジム・ローンのこんな言葉を、皆さんも耳にされたことはあるでしょう。
社員に「学んでほしい」「スキルアップして力を付けてほしい」と思うならば、ニワトリかタマゴかみたいな話になりますが、「学ぶ人を周囲に増やすこと」が近道なのは間違いなさそうです。
では、学ぶ人がいる組織、つまりは「人への投資」→「リスキリング」→「キャリアオーナーシップ」が循環する組織をつくるには何が必要か。私自身のこれまでの取材や、社会人の学びのサブスクリプションの会社での経験から、次の3つが言えると考えています。
- 業務としての学びの時間
- チャレンジングな仕事の機会
- キャリアの共助
それでは個別に見ていきましょう。
1. 業務としての学びの時間
「自律的な学びを行うには、本人たちはもちろん周囲の雰囲気も大事。最近では業務中に時間を決めてしっかり学ぶように、独自で指導してくれる部署も出ています」
そう話すのは、25もの事業会社がホールディングス(親会社:USEN-NEXT HOLDINGS)傘下に集まって構成されるUSEN-NEXT GROUPの人事担当者です。
同グループでは、人材育成の一環として新人向けに「オンライン×自律的×多様な成長機会」をテーマとする若手育成研修プログラムを人事手動で展開。きっかけは、コロナ禍のリモートワーク。日常業務を行う相手以外との交流が、若手の間で激減したことにあったそうです。
社外のビジネスパーソンのコメントも見られるなど「外の風を感じられるサービス」ということで、Schooをご利用いただいている企業の一つです。注目すべきは学びの習慣を、自主性に任せるのではなく会社のプログラムとして運用し、「業務の一環として」学ぶ時間や機会を確立していることです。
この「業務時間にリスキリングや勉強の時間を取り込んでいるか」は、人への投資において非常に重要なポイントです。
目の前の業績目標達成に時間を使うのは当然とはいえ、何パーセントかは未来への投資として「業務としてのリスキリング」「業務としての勉強時間」に当てられる環境をつくれているか。これをなくして「勤務時間外に学んでおいてください」であっては、まずもって「学ぶ人がいる組織」をつくれているとはいえません。
グローバルでも、アマゾンやウォルマートが、非エンジニアなどからテクニカル職の社員を新たに育成するAmazon Technical Academy、ウォルマートによるVRを使ったプログラムなどを実施。いずれも業務の一環として組み込まれているのが特徴です。
「業務の一環として、勤務時間に学びを導入できているか」
一見シンプルなようで、これを実装できているかどうかは、リスキリングの成否を分ける大きな分岐点でもあるのです。