内定者のプログラミング課題、最大の壁は環境構築
――なぜ、内定者に入社前のプログラミング演習に取り組んでもらったのですか。
讃岐 行氏(以下、讃岐):2017年卒のエンジニア採用で内定を出し終えたのは昨年8月のことです。全部で15名でした。彼らには12月に集まってもらって、1日だけの内定者研修を行いました。そこで、自宅で進めてもらうプログラミング演習について説明するとともに、プログラミングの基本となる考え方を学んでもらいました。
自宅でプログラミング演習に挑戦してもらった理由は、入社後の新人研修が始まる段階で、全員に一定の知識を持っていてもらうためです。例年、内定者には、いわゆる理系でプログラミング経験もそれなりにある人もいれば、文系でプログラミングはまったく未経験という人もいます。新人研修をスムーズに進めるためには、この入社段階のばらつきを減らさなくてはなりません。これは以前からの課題でした。そこで、入社前に自宅でプログラミング演習を挑戦してもらうことにしたんです。
実は、内定者にプログラミングの課題を案内することは以前から行っていました。前年までは内定式で、課題図書に選んだいわゆるプログラミングの本を示し「この本を購入し、入社までにやってくるといいですよ」と伝えていたんです。しかし、ほとんど誰もやってこなかった。課題図書を購入した人が少なかったことも問題ですが、それ以上に、購入したけれども難しくて進められなかったという人も多かったことが問題でした。特に、プログラミングを行うための環境構築でつまづいた人が多かった。あと、何をしたらよいかがそもそも分からなかったという人もいました。
――取り組もうとしたのに手が付けられず挫折したというのは、確かに問題ですね。
讃岐:ええ。これは何か工夫をしなければと。そこで、プログラミングを行う前の環境構築が必要なく、未経験者でも学ぶことの説明を読んですぐプログラミングに取りかかれるものを探しました。そこで選んだのがProgateです。12月の内定者研修でProgateを紹介し、入社までにチャレンジしてほしいと案内しました。
ただし、案内にするだけならメールで済みます。そこをわざわざ内定者研修を開いて伝えることにしたのは、我々が「自発的に技術を学ぶ気持ちを持つ」ことを最重要視しており、そのことを直接伝えたかったからです。エンジニアは常に新しい技術を学んでいかなければなりません。上長や会社から「学びなさい」と言われているようではいけない。技術のことを好きになったり楽しく感じたりして、自分から「じゃあ、こういう技術を学んでみよう」となってほしいわけです。入社前に会社側から「こういうものを学んでみよう」と言えば、実質的には課題になってしまうのですが、本来は自分自身のために学んでほしいのです。
プログラミング未経験の人にもそうなってもらうため、内定者研修ではプログラミングに関するパズルゲームのようなものをやったりしました。そうしてプログラミングの楽しさの一端を感じてもらってから、「テラスカイとしては入社前にこういうことをやってきてほしい」と、プログラミング演習の話をしました。
――パズルゲームのようなものとは?
讃岐:例えば、「1から100まで出力するけれども、3の倍数のときだけ変な言葉に変える」といった遊びの混じった動作を、処理の書かれたカードを使いフローチャートとして完成させるといったゲームです。このゲームを通して、プログラミング未経験者にも、目的に向けて論理的に処理を組み立てていくことを体験してもらいました。
さらに、この体験をベースとして、コンピュータプログラムとは何か、プログラミングとは何かといったことも説明しました。「コンピュータは人間の言葉を理解できない。理解できるのは2進数の羅列だけ」であるとか、「プログラミング言語は人間とコンピュータを仲立ちする言葉」であること、「Webサービスやアプリなどはプログラミング言語を使って書かれている」といったことですね。これで、演習するのに必要なプログラミングのイメージを与えました。