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参加したくてもできない学生にチャンスを
――「マッハインターン(前編参照)」の後継企画として2020年度から始まった「リモートインターン」。こちらはオンラインで受講できる講義形式のインターン事前学習プログラムとして提供されていますが、この企画のねらいはどんなものですか。
進藤圭氏(以下、進藤):リモートインターンは、自宅でも地方でも受講できるWeb学習と、Web会議ツールを使ったオンラインアドバイス、さらに有給インターンシップ選考や新卒選考がセットになったプログラムです。現在はコロナ禍のためにオンラインが当たり前になっていますが、企画自体はすでに2019年から動き出していました。
数年前から各企業でインターンシップ制度が一斉に始まったのですが、どこも会社は大都市にあるので、地方や海外にいる学生が参加できないんですね。せっかく才能やスキルがあるのに、お互いにもったいない。そこで彼らにも参加してもらえる、いい方法はないかというところから企画がスタートしました。そうしたら、たまたま新型コロナウイルスが来て、タイムリーなプログラムになってしまったのですが。
もう一つの背景は、マッハインターンをやってみて、参加型のインターンシップというのは、学生にとってハードルが高いことが分かったのです。2時間で実際に開発を体験すると聞いて、「え、自分で手を動かすの? もうちょっと気軽に参加できる企画はないの?」みたいな人も結構いた。それなら、まずはオンライン講義で勉強しながら慣れてくださいという意図もありました。
――現在(2020年7月時点)は「データサイエンス」「ビジネスデベロップメント」「DX/ITコンサルタント」「ビギナーズエントリー」の4講座が開講中ですが、これらのテーマを選んだ理由は?
進藤:第1弾として考えていたのは「データサイエンス」でした。最初にこれを選んだ理由は、このテーマをオンサイトでやるのは相当ハードルが高いので、とりあえずは課題形式でちょっとかじってみようと思う人たちを集めようと。
また、そもそも当社が、データサイエンスのニーズが高い企業だということもあります。当社では現在「Labor force solution company」という新しいビジョンを掲げていますが、この実現には非常に多くのデータサイエンス人材やAI人材が必要になります。加えて、学びの需給ギャップ=学びたい人と教えられる人の人数差が非常に大きい職種だということ。つまり、この先需要が増えることは確実なのに、教えられる人が圧倒的に少ない。以上から、オンライン型の学習プログラムに大きなニーズがあるのではないかと考えたのです。
ちなみに、現在リモートインターンは、僕らがいる次世代事業統括部だけにとどまらず営業やマーケティングなどの職種まで広げ、全社的なインターンシップとして展開しています。というのも、実際に来てもらうとなると、当然、部門ごとに受け入れられる人数には限りがありますが、リモートならば何人でも大丈夫です。おかげで従来はインターンシップの定員を30名とか絞っていたのが、1000人単位で実施できるようになりました。
募集と能力評価の両方が可能なプログラム
――リモートインターンの企画は、どうやって作っていますか。
進藤:第1回の「データサイエンス講座」では、実際にデータサイエンスを手がけている社員に企画や問題設定をお願いしました。またその際には、彼が自分で一緒に働きたいと思う人材のレベルを設定して、その人物に向けて企画を練っていきました。ちなみにその社員は入社2年目ですが、とても優秀なデータサイエンティストです。
――小林さんは、リモートインターンにはどのような関わり方をしていますか。
小林宥太氏(以下、小林):毎日応募が来るので、その対応ですね。現在、全体で1000名以上から応募が来ていますが、プロフィールを見てこれはと思う人材がいれば、リモートインターンの案内はもちろん、別枠で一度会ってお話ししましょうといったアプローチもします。そのために個別のプロフィールを詳しく見ないといけないので、応募者全員に参加案内の一斉メールを出して終わりではありません。常に目を配っていて、良さそうな人がいたら声をかけてスカウトしたり、進藤に報告してフォローしてもらったりしています。
また、リモートインターンには非常に大勢の方が応募してくれますが、実際に参加した場合、きちんと最後までやり通せるのか。そういう根気や粘り強さは、プロフィールからだけでは判断しきれません。そこを実際に試して見極める上でも、リモートインターンは良い機会になります。
オンライン学習の場合、単に教えてもらうのでなく、自分で積極的に取り組まなくてはいけません。またスケジュールに合わせて、いつまでに何をやるか自分で決めて進めないとカリキュラムがこなせない。そういう自己管理能力も見ることができます。効率よく多数の応募者を集められるし、一方ではそうした能力の見極めもできる点で、リモートインターンは画期的なプログラムだと感じています。