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メスライオン奮闘記 | 第2回

初めての会議で飛び交う専門用語、ワタシ会社で日本語がワカリマセン


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 今から10年ほど前、憧れのIT業界に人事として身を置くことになった私。入社の翌日、出社してみると昨日までは入っていなかった会議がスケジュールに入っていました。本人の許可なくスケジュールが空いていれば勝手に押さえられてしまうという、この業界の“おきて”なるものを知り、少々カルチャーショックを受けましたが「郷に入っては郷に従え」と思い直し、ぞろぞろと移動する社員の中に紛れて会議室へ向かいました。何の会議かも知らずに……。

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 会議室に到着し「新参者は端っこに座るべき」という前職の会社の常識から座る席を物色していると、優しそうな男性社員の横が空いていたので、そこに座ることにしました。

 「この会社の皆さんはリンゴのマークの『PC』が好きなんだな」と微笑ましく思っていたのですが、会議の司会者より「昨日メールにてお送りしたパワーポイントの資料をご覧ください」という言葉が発された瞬間、自分が大きなミスをしたことに気がつきました。

 アナログな業界から転職してきたばかりの私にとって、会議に必要なものとは手帳とペンそして電卓です。そんな常識の中で生きてきた私は、案の定デスクにノートPCを置いてきてしまったのです。

 自分のデスクに取りに戻ろうかどうしようかソワソワしている私。しかし、隣の優しそうな男性社員がリンゴのマークのPCをそっと傾けてくれたのでした。

 ほっとしたのもつかの間、今度は謎の英語が聞こえてきました。

 「アドネットワークにおける広告配信の……」
 「ペンギンアップデートのアルゴリズムによる……」
 「GDN、YDN同様に効果改善の……」

 アドなんとかって何だ? えっ! まさかペンギンがいるの? IT業界に? と頭の中がパニックを起こしていました。

 その後もUUやUI、CPA、CPI、CPC、CPR、CVR、SEM、SEO、コンバージョン、オーガニック、トラッキングなどなど、専門用語と思われる英語が飛び交います。もはや私の頭は爆発寸前。聞こえてくる話は日本語なのに、次から次へと降ってくる英語たちはどれ一つ理解できず、冷や汗が止まらなくなりました。

 理解ができない焦りから、私は隣の優しそうな男性社員にそっとメモを書いて渡しました。

 「会議中にすみません……ペンギンはどこにいるのですか? あとGDNとかYDNって何ですか? 多分IT業界の専門用語ですよね? この専門用語の本とか売っていたら教えてください」

 するとその男性社員は、リンゴのマークのPCの画面を会議資料からテキストメモに切り替えて、私の質問に答えてくれました。

 「マジか……ググれ!」

 その返答に驚き、今まで親切にPCを見せてくれていた男性社員に冷たさを感じました。

 ただ同時に、「私はそもそもの知識が足りていない。このままだときっと取り残されてしまう。せっかく憧れのIT企業に入ってきたのに試用期間で要らないと言われたらどうしよう……」という不安にも駆られました。

 私はもう必死になって、飛び交う専門用語を手帳に書き取りました。会議が終わり席を立つ社員の中、ショックから立ち上がれず、皆さんが持つリンゴのマークのPCが滲んで見えました。

 会議室からやっとの思いでデスクに戻った私。でもすぐ、自分の気持ちと向き合いました。

 「私は人生を賭けた敗者復活戦をしに来たのだから、悲しんでばかりはいられない! きっと明日もこの専門用語は飛び交う。だったら徹夜してでもこの専門用語をマスターしないと!」

 そう思うと、先ほど手帳に書き取った専門用語を一つひとつ、ググりはじめました。

 基礎知識のない私は、1つのページでは理解できません。また次のページを見てみます。するとまた不明な専門用語が出てくる。何度も何度もこれを繰り返し、不明な専門用語を追いかけていくことで少しずつ前に進んでいきました。1つの専門用語を理解するのに30分以上かかっていたでしょうか。それでも最後には、理解した専門用語と会議資料を照らし合わせ、会議で話されていた内容を知ることができました。

 翌日、寝不足で出社すると、昨日の会議で隣に座っていた男性社員からFacebookでメッセージが届きました。

 「マジかとは思ったけどめっちゃノートに書いてるから。よかったらどーぞ。次はPC持ってきたほうがいいですよ。ググれるし(笑)」

 メッセージには、Excelで作られた専門用語の資料が添付されていました。この業界の人たちは決して冷たいわけではなかったのです。優しい言葉をかけるよりも行動で示してくれる。それがこの業界の人たちの優しさと思いやりだということに気づき、涙があふれました。

 「その気持ちに応えたい! 皆さんと同じ言語で会話がしたい!」と強く思った私は、専門用語を単語帳に書き写し、四六時中持ち歩くようにしました。それはまるで受験生のように。

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この記事の著者

宇田川 奈津紀(ウダガワ ナツキ)

一撃必殺のスカウト能力を持つことから人事界隈や人材界隈で“メスライオン”と呼ばれる。人事責任者としてスタートアップから4000名近い企業までを経験。IT、広告、人材業界と幅広い業界に携わり多種多様な職種採用を統括し、人事部長としてダイレクトリクルーティングをはじめとする採用戦略設計と構築、採用ブラン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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