パーソル総合研究所は、組織におけるダイバーシティの意識や実態、その要因と影響を明らかにするため、「組織のダイバーシティ(多様性)に関する定量調査」を実施した。
同社は近年、世界的にダイバーシティをめぐる議論が転換点を迎え、日本でも企業による取り組みが進む一方で、そのあり方や現場への影響が改めて問われている点を指摘。同調査でも、属性や価値観の多様化が進むほど、現場では抵抗感や葛藤が生じ、ダイバーシティ施策が形骸化している実態が確認されたという。
こうしたギャップの背景を分析するため、同調査では従来の「属性」や「価値観」の多様性に加え、人材同士の「つながり」と「つながり方」の多様性を示す新たな概念として「関係のダイバーシティ」に着目。分析の結果、関係のダイバーシティが高い組織ほど、ダイバーシティへの抵抗感が抑えられ、チームパフォーマンスやイノベーション活動との間に正の関係が見られることが確認されたと、同社は伝えている。
調査の主なトピックは以下のとおり。詳細な結果は、プレスリリースを参照のこと。
【組織におけるダイバーシティの実態】
- 理念への賛同は高い一方、現場には抵抗感も存在:ダイバーシティに関する一般的な受容意識は、いずれの項目も6割以上と高水準だった。一方で、価値観の異なる同僚との協働にストレスを感じる人は約半数にのぼった。
- 「賛成だが葛藤」—ダイバーシティ葛藤派が39.4%で最多:一般的受容度と個人的抵抗感の2軸で従業員を4類型化したところ、理念には賛成しつつも葛藤やストレスを抱える「葛藤派」が39.4%で最も多かった。
【ダイバーシティの「壁」】
- 抵抗感を高める最大要因は「ダイバーシティ施策の空回り感」:本調査では、「表面的な世間体を整えているだけ」「理想と現実との間に大きなギャップがある」「他社の模倣に見える」など5項目の平均値を『施策の空回り感』と定義。空回り感を抱く従業員は全体の約2~3割にのぼり、個人的抵抗感を高める要因の中でも最も強い影響が確認された。
- ダイバーシティ推進の「目的のズレ」が形骸化と関係:人事・経営層は「働きがい向上」や「組織活性化」を重視する一方、従業員は「労務リスク防止」や「企業イメージ向上」と受け止める傾向が見られた。
- 属性・価値観の多様化は葛藤派を増やす、特に「価値観」で顕著:多変量解析の結果、表面的な多様性を測る「属性のダイバーシティ」(育児や介護、障害者といった多様な属性の人がいること)と深層的な多様性を測る「価値観のダイバーシティ」(多様な考え方の人がいること)が葛藤派の発生を有意に高めた。特に価値観ダイバーシティは、「低め」から「中層」への移行で葛藤が約20ポイント急増した。
【成果につながるダイバーシティ施策】
- 新たな視点「関係のダイバーシティ」—抵抗感を下げる傾向を確認:本調査では、仕事における「つながり」と「つながり方」の多様性を測定する4項目の構成要素を基に、「関係のダイバーシティ」を定義し分析に用いた。属性・価値観のダイバーシティが受容度と抵抗感の双方を高める一方、「関係のダイバーシティ」は受容度を高めつつ抵抗感を下げる傾向が確認された。
- 関係のダイバーシティはイノベーションや成果を促進:関係のダイバーシティが高い組織ほど、チームパフォーマンスが高く、イノベーション活動を促進し、「はたらく不幸せ実感」を有意に下げる効果が確認された。
- 関係のダイバーシティを高めるのは「ダイバーシティ施策数」ではなく「コミュニティ施策数」:ダイバーシティ施策数と関係のダイバーシティに明確な関係は見られなかった。一方、ネットワーク/コミュニティ施策が多いほど、関係のダイバーシティは高まる傾向が確認された。有効な施策は「広げる・太くする・かき混ぜる・つなげる」の4類型で整理された。
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