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人事労務事件簿 | #58

経理課長について権限の実態が伴わないため、管理監督者として認めず(東京地裁 令和3年7月14日)

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 時折問題になる「管理監督者」についての事案です。管理監督者になると、自分の裁量で働く時間などを判断できる半面、残業代などが支払われなくなります。悪質な企業では、実質的に働く時間を判断できない立場にある現場責任者を管理監督者とし、支払う賃金を低くするケースがあります。そのため、管理監督者とするには必ず裁量や権限の実態が伴っている必要があります。本事案ではそれが認められませんでした。

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1. 事件の概要

 本件は、被告(以下「Y社」)と労働契約を締結して就労している原告(以下「X」)が、Y社に対し、割増賃金等の支払いを求めた事案です。

 今回は、さまざまな争点から、管理監督者性について取り上げます。

(1)当事者等

 Y社は、眼内レンズおよびその他の医療機器または医薬品の製造・輸入・販売を目的とする合同会社です。

 Xは、平成28年1月1日、Y社に入社し、以降現在まで、経理課長として職務に従事している者です。

(2)Y社の組織等

 Y社の部門は、G課、経理課、H管理課、各営業本部等で構成され、その人員構成は、職務執行者が1~2名、社員、契約社員および派遣社員が合計50名程度です。

 Xが課長を務める経理課は、Xを含め平成29年6月1日時点で5名、平成30年3月1日時点で4名でした。

(3)Xの業務内容・権限

 XおよびY社が平成27年6月に作成した雇用契約書において、Xの担当業務は経理業務全般とされていました。例示として、米国親会社への財務報告、予算実績管理、買掛金・売掛金管理、固定資産管理、各種監査対応、銀行対応、経理課従業員のマネジメント等が挙げられていました。

 Xは、Y社との雇用契約締結後、実際に経理業務全般を担当しており、雇用契約書記載の業務のほか、経費精算の確認、振込の承認、棚卸の立ち会い、源泉徴収税の支払い等、多岐にわたる業務を行っていました。

 すべての労働時間中、経理課従業員に対する労務管理等のマネジメント業務を行っていた時間はわずかでした。

(4)経営会議への参加

 Y社においては、月1回、各部門の責任者が参加する経営会議であるマネージャーズミーティングおよびマネジメント・ミーティングが行われていました

 平成30年6月に、これらのミーティングが月1回のマネージャーズミーティングに一本化され、各部門の責任者10名が参加することとなりました。

 Xは、いずれのミーティングにも参加していました。

 マネージャーズミーティングにおいては、各部門の責任者が各部門の報告を行っており、売上目標やその達成状況、経費の処理方法、人事に関する事項等の情報が共有されていました。

 Xは、経理課長として、経理および財務の報告を行っていました。

(5)採用等

 Y社において正社員を採用する場合は、米国親会社が指定した転職エージェントを介して行う必要があり、経理課の従業員を採用する場合はXの意向を確認する運用がなされていたものの、X自身が正社員の採用を行ったことはありませんでした。

 経理課の契約社員が退職の意向を示していたこともあり、経理課の2つのポジションについて新規採用が検討されるようになりました。

 Xは、正社員の採用を希望し、これを前提として、職務記述書を起案し、必要な条件を提案しました。

 CFOのBは、同月27日、Xに対し、2つのポジションの業務は正社員を採用するのではなく、日本の会計事務所に外注する方針である旨を伝え、Y社のK課長とともに同会計事務所と連絡をとり、外注する職務内容を決定し、料金の見積もりに必要な資料を提供し、その進捗状況を報告するよう指示しました。

 その後、上記会計事務所に外注することが困難であると判明したため、CFOのBは、Xに対し、派遣社員を2~3名採用するように求めました。Xは、K課長とともに派遣社員の候補者と面接し、CFOのBに対し、同候補者を採用したい旨伝えました。

次のページ
(6)人事考課

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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