スキル管理失敗ループにはまる日本企業
こんな課題はありませんか?
- 経営層から「スキル管理に取り組むこと」自体が自己目的化して降りてきており、人事が後付けでその目的や活用方法を考えなくてはいけない
- 過去にスキル登録を強制しながらも活用しきれなかった経緯があり、現場には「スキル管理」そのものに対する強い形骸化懸念と拒否反応が根付いている
- 人事部門が外部専門家といっしょにスキルマップを作成したが、事業部が求める定義やレベル感と合致していないことから活用されていない
- スキル情報に基づくキャリア推奨ができるAI機能を導入したが、スキルの入力や評価の負荷が高い一方で、個々人への推奨精度が上がらず活用に耐えない
「自社の業務に必要なスキルを定義して、従業員のスキル評価をして、それをデータとして可視化して、人材戦略に活用したいのです。そのためにタレントマネジメントシステムを導入したいのです」
このような相談を受けることが多くあります。一方、スキル管理に疑念をもっている方もいます。
「スキル管理は5年前に取り組んだことがあるが、ほとんどの従業員がスキル情報を入力しなかった」
「強制的にスキル情報を集めたが、誰も活用してくれなかった。実は当時スキル管理推進者であった私もスキル情報を活用しなかった」
「人事が定義するスキルは、うちの事業部が必要とするスキルではないので興味がない。現場は忙しいので、スキル入力のような不要な作業を増やさないでほしい」
たしかに、スキル管理は過去にも何度かブームがあり、その時に取り組んでうまくいかなかったことを覚えている方が少なくないのです。
最近のスキル管理トレンドは過去のものとは異なる新しい考え方なのでしょうか。まずは、過去のスキルトレンドを振り返ってみます。
2000年代:第1次スキル管理ブーム
きっかけ
- 1人1台のPC環境の普及
取り組みの典型例
- 自社の業務に関連のあるスキルをリストアップする
- Excelや自作のWeb画面による自己申告フォームを作成する
- 年次の必須のイベントとして、従業員に自身の保有資格やスキルレベルを申告させる
運用開始から一定期間経過後の典型例
- 従業員のスキル保有状況や習熟度などのデータを収集するのみで、実務には活用されない
- 「一度始めたことだから」という理由で継続されるが、従業員には無意味な取り組みだとみなされ、対応が儀式化する(形骸化の始まり)
- 推進側も活用されない実態を認識し、自然消滅的に取り組みを中止(もともと活用されていないため、従業員からの反対もなく、中止したことにすら気づかれない)
2010年代:第2次スキル管理ブーム
きっかけ
- 日本企業におけるタレントマネジメントシステムの普及開始
取り組みの典型例
- 外部のスキルライブラリなどの情報を参考に、自社の業務に関連するスキルをリストアップする
- タレントマネジメントシステムを導入し、従業員本人による保有スキルの登録、スキル習熟度の自己申告、上司評価が可能な仕組みを構築する
- スキル保有・習熟状況の棚卸しのため、半期や年次評価などの人事イベントに合わせて、半強制的にスキル情報の最新化を促す
運用開始から一定期間経過後の典型例
- 従業員のスキル保有状況や習熟度などのデータを収集するのみで、実務には活用されない
- 「一度始めたことだから」という理由で継続されるが、従業員には無意味な取り組みだと見なされ、対応が儀式化する(形骸化の始まり)
- 従業員本人による自発的なスキル情報の入力や最新化は行われない
- 推進側も活用されない実態を認識し、自然消滅的に取り組みを中止(もともと活用されていないため、従業員からの反対もなく、中止したことにすら気づかれない)
2020年代:第3次スキル管理ブーム(現在)
きっかけ
- ジョブ型人事制度、リスキリング、スキルベース組織といった人事トレンドと連動し、「スキル管理」への期待値が再び高まる
- HRテクノロジーへのAI機能搭載により、スキル入力の効率化、スキル推論、スキルマッチングなどの新機能が登場する
取り組みの典型例
- 外部のスキルライブラリなどの情報を参考に、自社の業務に関連するスキルをリストアップする
- タレントマネジメントシステムを導入し、従業員本人による保有スキルの登録、スキル習熟度の自己申告、上司評価が可能な仕組みを構築する
- スキル保有・習熟状況の棚卸しのため、半期や年次評価などの人事イベントに合わせて、半強制的にスキル情報の最新化を促す
- システムに搭載されたスキル推論・提案のAI機能により、スキル情報収集を効率化する
運用開始から一定期間経過後の典型例
- (取り組みの検討中・対応中)
過去のトレンドを振り返ると、ブームのきっかけは時代ごとに異なるものの、実際の取り組み内容や運用後の結果がほとんど変わっていないことにお気づきいただけるのではないでしょうか。
近年、テクノロジーの進化に伴い、タレントマネジメントシステムやAIによるオペレーション補助・推奨機能などが登場しています。しかし、スキル管理に対する根本的な思想が変わっていなければ、過去と同様に活用されないまま取り組みが頓挫するリスクをはらんでいます。

