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2026年2月5日(木)@オンライン

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インタビュー《スキルマネジメント》| シチズン時計が泥臭く「スキル管理」を推し進める理由とは

シチズン時計の「スキル管理」実装録——現場の「可視化にメリットがない」を乗り越え、見据える未来とは

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 国内を代表する時計ブランド、シチズン時計。製造業ならではの採用・育成の壁にぶつかりながら、人事が中心となって「スキル管理」のシステムを導入し、事業継続に必要な人材の獲得と育成に注力してきた。多様で複雑な技術の継承が求められる中で、どのように現場と連携し、スキルを洗い出したのか。また、どのような仕組みを使って運用しているのか。導入にあたって苦労したポイントや乗り越え方について、人事部 部長の小林由佳氏と人財開発課の河島慎氏にうかがった。

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このままでは間に合わない“技術継承”——製造業に立ちはだかる人材獲得・育成の壁

——貴社は、「中期経営計画2027」の人事戦略の1つに「人財の育成」を掲げ、「企業の変革と成長に必要な人財の育成、事業継続に必要な人財の獲得と育成」という目標を掲げています。人材獲得・育成についてどのような課題を持っていますか。

小林 由佳氏(以下、小林) 全業界を通じて人材獲得競争が激化している中、要員計画どおりの採用が難しいのが現状です。その結果、当社グループでも技能継承という製造業の課題の優先度が高くなってきています。そこで、中期経営計画で改めて「事業継続に必要な人財の獲得と育成」を掲げるに至りました。

 グループ全体で見ると、地方拠点での採用が困難になっていること、そしてキャリア採用が一部の職種で長期化していることが課題です。たとえば、特定の機械を使える即戦力人材を募集しても、市場には一握りしかいないという状況があります。

 現在は、社内公募制度を実施したり、配置転換を行ったりしながら社内で要員を充足する仕組みで補っています。ただその中で、グループ全体では製造拠点が全国に分散しており、どんなスキルを持った人材をどこに採用・配置したらよいか、戦略を立てるためのデータが不足していることが大きな課題でした。

小林 由佳氏

小林 由佳(こばやし ゆか)氏

シチズン時計株式会社 人事部 部長

知的財産部、事業企画部を経て人財開発課長として採用と人財育成施策を推進した後、2022年より現職。人事部門を統括し、人的資本経営の高度化に向けた人財戦略の推進と、人的資本に関する情報開示を担う。

河島 慎氏(以下、河島) 育成に関しては、従来の画一的な階層型の研修から、本人の主体性を重視したキャリア自律型の育成へと変化しています。

 一方で、近年は環境変化への対応や業務負荷の増加により、キャリア自律にまで目を向けられないケースや、キャリア開発に時間を割くことが難しい従業員もいます。

 複合的な課題を抱えており、全方位の施策は難しいので、重点を変えながら施策を行っている状況です。

——そのような中で、従業員のスキル管理に注目した狙いを教えてください。

河島 スキル管理を始めた目的は、先述の課題も含めて4つあります。①人的資本経営に関わるスキルの可視化、②逆算型の技能継承と社内横断的なスキル連携、③若手や中堅のキャリアステージに合った育成支援と管理、④事業や会社の枠を超えた配置や人財交流と人財発掘の4つです。

 特に2つ目の「技能継承」は重要項目で、グループ各社の人事担当から「技能継承が課題だ」という声を耳にしていました。現状の部門最適型の人材育成では間に合わないという課題感から、グループを横断した全体最適の人材育成へシフトする必要性を感じていました。

河島 慎氏

河島 慎(かわしま しん)氏

シチズン時計株式会社 人事部 人財開発課 主任

2017年にシチズン時計へ中途入社。前職ではERPベンダー企業の人事部にて、人材育成を中心に人事業務全般を経験。現在は、人的資本経営を軸に人材開発全般、サクセッションプラン、グループタレントマネジメント等を主に担当。

 また、外的な要因として2022年に内閣官房から公表された「人的資本可視化指針」があります。自社の競争優位性がどこにあるのか見直したときに、シチズン時計はものづくりの会社であり「技術力に強みがある」と考えたのです。

 ここ数年、多くの企業にとってエンゲージメントは重要な指標の1つとなり、当社も取り組みを進めています。その中でも我々のような製造業は、そもそもものづくりのスキルがなければ、どれだけエンゲージメントが高くても価値を発揮できません。そこで、当社にとっては技術力こそクリティカルなテーマだと考えて、スキル管理に着目し、「Skillnote」を導入するに至りました。

小林 人材ポートフォリオをどの粒度で捉えるべきか、多くの企業が頭を悩ませていると思いますが、製造業であれば「スキル」という切り口は有効だと思います。

“共感”からのスモールスタート 業界のためにもスキル管理を先駆け

——どのようなステップでスキル管理の仕組みを導入・運用していったのでしょうか。

河島 2024年に機械式時計の開発部門からトライアルを開始しました。

 機械式時計の開発部門は数十人の規模の部門です。その部長が「スキル管理」の考え方に共感してくれたことがきっかけで、この部門からスモールスタートすることになりました。

 シチズンでは、「力量管理表」と呼ばれる、業務に必要な技能やスキルの一覧があり、機械式の開発部門でもこれを運用していました。しかし、3つの課ごとにバラバラのスキル体系で運用していたため、取りまとめる立場の部長は全体のスキル把握が困難な状態。「経験と勘」に頼ったマネジメントから脱却するために、スキル管理の必要性を感じていたようです。

 また、この部長は製造業全体のことも考えていて、「これから人材も減っていく中で、技術継承は業界全体の大きな課題。この課題を解決することもシチズンの開発者としての役割だ」という見解を持っていました。開発者として高い視座を持ち、スキル管理を前向きに考えてくれたことで、導入の一歩目を踏み出すことができたのです。

 そこから徐々に浸透し、現在は全国の工場を含めたグループ全体に広がっています。

スキル管理の導入、運用、今後の流れ
スキル管理の導入、運用、今後の流れ
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小林 機械式時計の部門は、設計・開発・製造という業務フローが1つに集約されていて、時計事業の縮図ともいえる部門です。ここでパイロット的に始められたことで、その後の展開にもつながりやすかったと思います。

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“泥臭い方法しかない”スキルの棚卸し 269個のスキルが146個にまとまるまで

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この記事の著者

関口 達朗(セキグチ タツロウ)

フリーカメラマン。1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014年から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

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岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

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