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人的資本経営 Executive Deep Diveレポート | #4

2040年の人材過不足をどう埋める? 経産省×MUFG×NRIが語る“スキル基盤”と生成AIのリアル

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 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会「人的資本経営の導入と実践ワーキンググループ」が主催するイベントシリーズ「人的資本経営 Executive Deep Dive」。その特別編が、2025年11月11日に渋谷ストリームホールで開催された。登壇したのは、経済産業省の今里和之氏、三菱UFJ銀行の富澤宏紀氏、野村総合研究所の河邊俊輔氏だ。「開示」から「実装」へ、さらに「企業価値向上への接続」へと局面が移りつつある人的資本経営。一方で、労働市場全体では産業構造の変化、スキル転換、ジョブ型への流動化が進み、企業内の人材マネジメントだけでは完結しない課題が鮮明になっている。国の政策と企業の取り組みがどうつながり得るのか、そして生成AIがその“接続”に何をもたらすのだろうか。なお、モデレーターは松岡佐知(筆者)が務めた。

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「ジョブ型」「スキル」——“聞き飽きた”先にある実装の難しさ

松岡佐知氏(以下、松岡) 本日のテーマの軸でもある「ジョブ型」「スキル」について、経済産業省(以下、経産省)の問題意識を伺えますか。

今里和之氏(以下、今里) 人的資本経営を企業価値につなげるうえで、ジョブ型、スキル前提の人事はキーになると思っています。国全体でも大規模なスキル転換が必要で、AIやロボット前提で人材ポートフォリオを変えないといけない時代です。企業内でも、スキルやジョブを識別・評価し、取り組みを進めることが求められます。

 ただ、これらの導入状況を見ると、進展はしているものの「予定すらない」企業が過半という実情もあります。大企業は資本市場と接続した好循環、そして中堅中小へ裾野を広げる面的拡大、そのための情報基盤整備を一体で進めたいと考えています。

 とはいえ、「ジョブ型やスキルが大事なのはわかる」「聞き飽きた」と言われるのもわかります。問題は、実際にやろうとすると、スキルやジョブを整理し、管理し、人をマネジメントし、処遇も含めてシステムとして回すのが非常に大変で、どうしていいかわからないことです。国家レベルでも至難の業です。

 そこで注目しているのが、シンガポールの「SkillsFuture」です。政府がデータ分析で重要スキルを示し、能力開発プログラムを用意しています。さらに、個人が携帯のマイポータルで自分のスキルや訓練状況を確認でき、バウチャーで教育訓練機会を提供しているのです。国家的システムとして、スキルやジョブや訓練を把握できる仕組みです。

今里 和之氏

今里 和之(いまざと かずゆき)氏

経済産業政策局 産業人材課 課長

東京大学大学院生物化学専攻修了。カーネギーメロン大学公共政策管理学専攻修了。平成15年4月 経済産業省 入省、平成30年6月 大臣官房 会計課、令和元年6月 技術振興・大学連携推進課 課長、令和2年7月 中小企業庁 経営支援部 経営支援課 課長、令和3年7月 新エネルギー・産業技術総合開発機構-欧州事務所長、令和6年7月 経済産業政策局 産業人材課 課長

MUFGはスキル400種類を定義。「横串」で評価する

松岡 では続いて、三菱UFJ銀行(以下、MUFG Bank)の取り組みを教えてください。

富澤宏紀氏(以下、富澤) MUFGはグループベースで人的資本経営を進めており、4つの重点課題を掲げています。その中で「プロとしての追求」が、スキル・専門性の部分です。スキルと専門性を高めるだけでなく、可視化し、その結果をどう人事運営に反映するかまでセットで考える必要があると思っています。

 もともとのアイデアはシンプルです。私たちの仕事は多くが適材適所、つまり「行員側の情報」と「ポスト側の情報」をうまくマッチングすること。

 ただ、価値観の多様化、仕事の種類の多様化で、大量の情報を人間の頭に入れて脳内でマッチングするのが難しくなっています。だから、可視化して、構造化して、数学の力でマッチングすれば効率化が進む。そこでものさしとなるのが「スキル」なのです。

松岡 その「ものさしづくり」が大変そうです。

富澤 そうですね。当行では、銀行員が必要なスキルを400種類定義してスキルライブラリーを作成しました。人事と部門が対話を重ねてつくり、とても大変でした。

 このスキルライブラリーと評価基準をAIに渡し、行員が提出している人事考課(上司コメント等を含むテキスト)も渡します。これで、各行員の各スキルがどれくらいのレベルか、横串で評価できると考えました。結果として、未経験、見習い、一人前、達人といった形で、スキル情報を取得できました。

富澤 宏紀氏

富澤 宏紀(とみざわ こうき)氏

株式会社三菱UFJ銀行 人事部 上席調査役

大学院で金融工学を専攻。大手生命保険会社に入社、アクチュアリーとして企業年金数理業務に従事。2017年 三菱UFJ銀行に入行。入行後は、監査部を経て、2023年より現職 人事部 上席調査役。人事データを触りながら思いついたアイデアを実装するべく、システム開発に尽力。

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「国の取り組み」と「企業の実装」はつながるのか

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この記事の著者

松岡 佐知(マツオカ サチ)

ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員
野村総合研究所 コンサルティング事業本部 人的資本経営ドメイン シニアプリンシパル

京都大学法学部卒業、London School of Economics and Political Science修士課程修了(MSC in Internationa...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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