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2026年7月28日(火)@オンライン

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未来へ駆動する「戦略人事」のヒント:AI時代の人・組織・制度を考える | グローバル水準のHRBPに飛躍する3つのステップ

HRBPが“御用聞き”を脱却し、グローバル水準へ飛躍する3ステップ——「戦略人事の担い手」になるために

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 多くの日本企業では、HRBP(HRビジネスパートナー)を導入しても、事業部の社員全員を顧客として全方位で対応するという事業部人事時代のパラダイムを引き継いだままです。しかし本来、HRBPへの転換は単なる名称変更ではありません。顧客を事業部全体から事業リーダーに絞り込み、経営判断に直結する論点だけを扱うという、顧客定義そのものの転換を意味します。全方位対応を続ける限り、貢献価値は希薄なまま分散し、戦略的パートナーへの道は開けません。発展途上国が固定電話網を飛ばして一気にモバイル社会へ飛躍した「リープフロッグ(カエル跳び)」のように、段階的な改善ではなく構造から変える必要があります。本稿ではその3つの問いを提示します。

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あなたの仕事は「作業」か「判断」か

 「現場の信頼を積み上げれば、いずれ戦略的な役割を任せてもらえる」——多くのHRBPがこう考えて、採用面接の調整も、労務トラブルの対応も、マネージャーからの相談にもていねいに応じています。しかしその努力が積み上げているのは、真の信頼ではないかもしれません。雑務に応え続けるほど「便利な御用聞き」という認識が固定化され、戦略的な提言を試みるたびに「越権行為だ」という反発を招く構造が出来上がっていきます。

 では、信頼を何によって積み上げるか、それを根本的に変えるにはどうすればよいか。そしてそもそも、なぜこの構造は変わりにくいのか。ここには構造的な原因があります。

 「何によって信頼を積み上げるかを変える」ための第一歩は、自分が今何に時間を使っているかを正直に見ることです。多くのHRBPにとって、これが最も不快な作業です。なぜなら、思っていた以上に「これは、本当に自分がやる必要があるのか」と疑問に思う業務で埋まっていることに気づくからです。

「御用聞き」が生まれる構造

 HRBPが御用聞きになってしまう理由の根本には、「自分の顧客は誰か」が定義されていないという問題があります。顧客が曖昧なまま事業部に配置されると、目の前にいる全員(マネージャーも、一般社員も、経営層も)が等しく顧客に見えてしまいます。結果として、「採用面接の代行者」「メンタル不調の緊急対応係」「勤怠督促の窓口」といった要求を断る根拠が持てなくなります。全方位対応は意識の問題ではなく、顧客定義の不在がもたらす構造的な必然です。

 ここで有効なのが、「アクティビティ分析」の考え方です。「現在、何が行われているか」と「本来行われるべきことは何か」を峻別するこの手法を、まず自分の業務に当てはめてみることが変革の出発点になります。

 この仕分けは単なる業務効率化ではありません。事業リーダーを顧客として据えたとき、それ以外から来る要求のどこまでを引き受けるべきかを、自分の業務から問い直す作業です。

業務を2つの軸で仕分けてみる

 整理に使いたいのは2つの軸です。縦軸は「オペレーション(定型処理)か、判断か」。横軸は「守り(リスク回避・現状維持)か、攻め(事業成長への貢献)か」です。

守り
(リスク回避・現状維持)
攻め
(事業成長への貢献)
判断
(非定型・文脈依存)
休職・降格・ハラスメント対応、
労務トラブルの判断
新規事業の人材要件定義、
組織課題の特定と提言、
評価制度と事業戦略の整合性検証
オペレーション
(定型・反復)
勤怠督促、給与不備対応、
評価シート回収
採用面接のセッティング、
オンボーディング手続き

 HRBPが本来集中すべきは、右上の「判断×攻め」の領域です。しかし多くのHRBPが陥っているのは、左上の「判断×守り」のゾーンです。休職対応や労務トラブルの解決は確かに高度な判断を要します。しかし事業成長には直接的に結びつくとは限りません。「定型業務を手放した」つもりでも、守りの判断業務に時間が集中していれば、HRBPとしての本来の役割は果たせていません。

[画像クリックで拡大表示]

 まず自分のカレンダーを眺めて、4つの象限のどこに時間が偏っているかを確認してみてください。「作業を手放せばよい」という話ではなく、「攻めの判断に時間を使えているか」が問いの本質です。

事業の言語で話せているか

 作業を手放し、事業リーダーに顧客を絞った。では、その顧客と何を話すのか。ここで多くのHRBPが直面するのが、「事業部長と何を話せばよいのかわからない」という壁です。顧客を絞っても、対話の中身がなければ関係は成立しません。それは能力の問題ではなく、これまで求められてこなかった「言語」を持っていないという問題です。事業の言語を持つことは、事業リーダーを顧客として向き合うための、唯一のパスポートです。

データを活用した「事業の言語」への翻訳

 HRBPが事業部長の真のパートナーになるためには、事業戦略を「人と組織の問い」に翻訳する力が必要です。

 たとえば、「グローバル展開を加速する」という方針が出たとき、従来の人事は「英語ができる人材を採用する」という点の施策に変換しがちでした。しかし、HRBPに求められるのは構造的な問いの設計です。その戦略を実現するために必要なスキルセットと人材要件は何か、現在の人材ポートフォリオとのギャップはどこにあるか、現行の評価制度はその戦略に向けた行動を後押ししているか。

 これらの問いを、データと根拠に基づいて事業部長と議論できること。それが「事業の言語で話す」ということです。当社がさまざまなクライアントを支援する中でも、グローバルの先進企業では、HRBPがデータを武器に経営判断に関与することはすでに当たり前になりつつあると感じます。一方で、日本企業のHRBPによるデータ活用はまだ限定的であることが多く、これから日本企業が積極的にテコ入れしていく必要があると考えています。

 データ活用にあっては、たとえば「7Sフレームワーク」などの構造的な分析手法や、人事施策を「コスト」ではなく「投資」として語る「HCROI(人材投資に対するリターンを示す指標)」のような指標は、「攻めの判断」を支える武器になります。

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事業部長の「期待値」を書き換えられているか

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この記事の著者

栗山 誠(クリヤマ マコト)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ピープル・コンサルティング ディレクター
外資系コンサルティングファームを経て現職。20年以上にわたり組織・人材領域のコンサルティングに従事。多様な業界の企業を支援し、年功序列から役割主義への人事制度改革、M&Aに伴う制度統合、DX組織の人材定義・制度設計など幅...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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