(※)リクルートマネジメントソリューションズ「生成AIとマネジメントに関する調査(2025年)」より
目標設定・評価で活用されている背景
目標設定や評価は、管理職にとって必須のマネジメント業務であり、組織の成果創出とメンバー個人の成長の双方に直結する重要なプロセスです。一方で、目標の妥当性や公平性の担保、納得感のある評価・フィードバックの実施など、判断の難しい領域でもあります。
目標設定では、職責や等級を踏まえながら1人ひとりの目標水準が適切かを見極める必要があり、評価においても結果が処遇にも影響するため、慎重な対応が求められます。こうした背景から、思考整理や判断の補助として、生成AIの活用が進んでいると考えられます。
目標設定における具体的な活用例
では具体的にどのように活用されているのでしょうか。まずは目標設定の場面から見ていきます。調査結果を見ると、生成AIの活用は大きく3つの目的に整理できます。
- 客観的な視点を入れ、目標の偏りや過不足を防ぐ「目標の妥当性の確認」
- 達成基準を明確にし、分かりやすくする「目標の具体化・言語化」
- メンバー個人の過去や現在の状況、志向を踏まえた「個人特性に合わせた目標設計」
それぞれの目的に応じて、次のような活用が見られました[1]。
注
[1]: いずれも「生成AIとマネジメントに関する調査(2025年)」より、実際に生成AIを活用している管理職の自由記述回答結果。
AIは過去のデータや行動パターンを分析し、目標達成の可能性を客観的に評価します。たとえば、営業目標を設定する場合、AIは過去数年間の売上データ、顧客の購買傾向、市場の季節変動などを分析します。これにより、単なる希望的観測ではなく、現実的な数値目標を設定できます。(1に該当)
それぞれの部下たちとの面談で各自の目標を立てさせ、その後の面談の前に生成AIに無理のない目標か、あるいは目標が低すぎないか、また勤続年数を含めた経験など判断評価してもらい、整理してもらい、偏りがない目標かどうかを判断してもらう。(13に該当)
定量的な目標であれば数字を示すだけなので簡単で問題ないが、定性的な目標を与える場合はどうしても抽象的なものになってしまいます。それを避けるために生成AIを使用してより分かりやすい表現になるようにしています。(2に該当)
メンバーの目標設定においては、まず過去の業務実績やフィードバック内容をもとに、生成AIを活用して目標案のたたき台を作成しています。たとえば、定量的な成果指標(KPI)と定性的な成長目標をバランスよく含めた文案をAIに生成させ、そこから本人の意向や上司の方針を反映しながらブラッシュアップしています。また、他部署の目標事例をAIに要約・比較させることで、視野を広げた目標設定が可能となり、納得感のある目標策定につながっています。さらに、目標の表現を明確かつ測定可能な形に整える際にも、AIの言語補正機能が有効です。(123に該当)
AIは、ユーザーのスキルレベル、興味、キャリアプランに基づいて、個別化された目標を提案します。従来の目標設定は、往々にして画一的になりがちでしたが、AIは1人ひとりの状況に合わせたカスタマイズが可能です。(3に該当)
こうした活用の背景には、目標設定に必要な情報の多さがあります。会社からの要求や過去の実績、メンバーの等級や本人の意向など、複数の情報を踏まえて判断する必要があるため、自分の視点だけではなく、生成AIを通じて客観的な視点を補完していると考えられます。また、AIに情報の整理や言語化を任せることで思考が整理され、より網羅的で納得感の高い目標設定につながっている可能性があります。
こうした「情報整理」と「個別最適」の活用は、前回のメンバー育成の場面とも共通しています。

