評価における具体的な活用例
一方、評価の場面においては、生成AIは大きく2つの目的で活用されていることが分かりました。
- 客観的な視点を取り入れ、主観に偏らない評価を行うための「評価の公正性・妥当性の確認」
- 評価結果をメンバーに伝える際の表現や内容を整える 「評価コメント・フィードバックの質向上」
それぞれの目的に応じて、次のような活用が見られました[2]。
注
[2]: いずれも「生成AIとマネジメントに関する調査(2025年)」より、実際に生成AIを活用している管理職の自由記述回答結果。
私は部下の評価において、AIを補助的に活用しています。具体的には、業務の進捗管理や成果物の定量的な評価、勤務態度に関する記録をAIに集約させ、客観的なデータをもとに評価の参考としています。たとえば、報告書やメール、会議発言などをAIで解析し、キーワードや表現の多様性、業務に関連する知識の活用度を可視化することで、部下の成長度合いを確認しています。(1に該当)
部下の実施したことを公平に評価するために、成果を羅列したものから業績への貢献度をAIによって図ることを試している。(1に該当)
評価AIは、目標達成度やスキル習得度などのデータを分析し、公平な評価基準を設定することの役に立ちます。また、メンバーの強みや成長ポイントを客観的に抽出することで、個別最適なフィードバックを作成します。これにより、評価者はデータに基づいた公平な評価とメンバーの納得度を高める具体的な助言に役立てています。(12に該当)
四半期ごとに行うパフォーマンスレビューミーティングで部下に業績評価を伝える前に、フィードバックの仕方を相談する。特に厳しい評価をしなくてはならないとき、伝え方や事例の検討にAIの助けを借りている。(2に該当)
人事考課シートの評価コメント欄に、それぞれの項目の目標と実績や事実、期待していたことを織り交ぜた文章を生成AIに整理してもらい、それを参考にしながら記入している。総合評価のコメントを記入する際は、生成AIにメンバーの性格をインプットし、各自に適した事実評価と次期への期待コメントを書き出すようにしている。(2に該当)
評価の場面においても、目標設定の場面と同じように、設定した目標や日々の行動、成果物、結果指標など多くの情報を扱います。さらに評価は、処遇にも直結する重要なプロセスでもあります。そのため、自分の判断だけではなく客観的な視点を取り入れるために、管理職の評価における生成AI活用が進んでいるのかもしれません。
また、評価結果をどのように伝えるかは、メンバーの納得感や今後のモチベーションに大きく影響します。生成AIは、こうした重要な場面において、情報整理や伝え方の選択肢を広げる役割を担い、より適切な関わりを支える手段の一つとなっているといえるでしょう。
まとめ
今回は、マネジメント業務の中の「メンバーの目標設定」「メンバーの評価」における生成AIの活用事例を見てきました。いずれにも共通しているのは、情報整理と客観的視点の補完を通じて、判断の質と納得感を高めようとしている点です。
一方で、前回でも触れたとおり、生成AIの出力をもとに最終的な判断を行うのは管理職自身です。この重要な原則を踏まえて活用することで、生成AIはマネジメントの重要な意思決定とコミュニケーションの両方を支える手段となります。
では、このような生成AIの活用を現場に広げていくためには、組織として何が必要なのでしょうか。次回は、活用を推進するために必要な環境や仕組みについて掘り下げていきます。

