BIは気軽に始めましょう。
これから夏本番。暑くなると冷やし中華やアイスが売れるようになる。しかし、さらに暑くなるとこれらの売上は鈍化し、冷やしそばやかき氷に売上がシフトしていくという。コンビニやスーパーの売場にいれば肌感覚でつかめるかもしれないが、気温が何度になるとどのような変化が表れるのか、別の要素との組み合わせで変化が生じるのかまで把握するのは難しい。
近年では多様なデータを分析できる環境が整いつつある。先の例なら気象庁の気温データと売上データを突き合わせて分析すれば、何度から売上に変化が出てきているか検証できる。傾向がつかめれば仕入れ量を適切な値にすることができて、売上拡大などにつなげることができると期待できる。データ分析は推論を検証し、正確な傾向を把握するのに役立つ。新たな気づきを得ることもある。
こうしたビジネス上の効果を得たいと、データ分析スキルの需要が急拡大中だ。IT技術に関する研修サービスを提供する富士通ラーニングメディアでも、IoT・ビックデータ/ビジネスインテリジェンス関連コースを開設。BI(ビジネスインテリジェンス)分野で今勢いのあるツール「QlikView」や「Tableau」、加えて「Oracle BI Suite」を対象にしたコースを提供している。
同社ではここに、新しくBIの体験コースを加えるという。9月21日開講予定の「体験! ビジネスインテリジェンス ~さわってナットク!BIツール~」である。BI未体験者を対象としており、8月25日には下記のベータ版セミナー(受講無料)を開講する。
【無料体験セミナー】 BIツールでデータの視覚化・分析を体験!
~デジタルビジネス時代のサバイバル術 第一弾~
日時: 2016年8月25日(木)14時~17時 (13時30分 受付開始)
場所: CO☆PIT(こぴっと)
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟10階(アクセス)
主催: 富士通ラーニングメディア
▶▶▶ ご興味のある方、詳細はこちらから!
講師は、富士通ラーニングメディア ナレッジサービス事業本部 第二ラーニングサービス部 拝野晃希氏。9月の開講に向け、講義の内容などを調整している真っ最中だという。「業務に携わる人がBIを使えるようになると、ビジネスに効果てきめんです。BIの経験や知識のない方にはぜひ、BIで何ができるのかを知っていただきたい。そのために、この体験コースを全力で準備しています!」(拝野氏)と意気込みも満点だ。
この体験コースは1日で完結する。BIでできることや各種BIツールの違いを知るといった内容になるという。使用するBIツールはTableau、Microsoft PowerBIを予定している。
BIツールのダッシュボードは視覚化が使命!
ところで、市古編集長はBIツールに触れた経験が全くないという。残念ながら体験コースはまだ準備中ということで、今回はQlikViewを使って、拝野氏がBIツールの手ほどきをすることになった。用意されたのは「架空の研修サービス企業における講習会受講者のアンケート結果を分析する」というシナリオ。ゴールは「講習受講者の満足度を分析し、満足度が低いコースを見つけたら改善点を議論するための資料を作成する」ことだ。
起動したQlikViewの画面を見ると、講習受講者のアンケート結果を分析するための「ダッシュボード」が表示された。ふだんExcelでデータの分析や視覚化をしている業務部門の人などが初めてダッシュボードを見ると、「なにこれ!?」「すごいー!」とびっくりするそうだ。視認性はもちろん操作性も段違いだから当然かもしれない。実際、「ビジネスの現状をダッシュボードでいかに効果的に視覚化するか」は、BIツール活用の重要なポイントの1つだという。
ダッシュボードではグラフをはじめ、データの視覚化に様々な部品を使用できる。その1つ「ゲージ」は車の燃料メーターのようなもので、重要な判断指標(KPI)を視覚的に表すのに使うそうだ。表示されているのは満足度を分析するためのダッシュボードなので、KPIである満足度がゲージで表示されている。
【無料体験セミナー】 BIツールでデータの視覚化・分析を体験!
~デジタルビジネス時代のサバイバル術 第一弾~
日時: 2016年8月25日(木)14時~17時 (13時30分 受付開始)
場所: CO☆PIT(こぴっと)
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟10階(アクセス)
主催: 富士通ラーニングメディア
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実際に触ってみるのは大切かもしれない
ここから、BIツール体験が本格化する。「データを全体的に見てもあまり意味がないので、表示するデータを絞り込む必要があります」(拝野氏)ということで、ここから満足度の平均値が低いコースは何か、低い満足度を回答した受講者がどのようなコメントを残しているのか、といった観点でデータを見られるようにダッシュボードを作っていくのだ。
まず、分析用のサンプルデータをQlikViewにロードする(読み込む)。このコースではCSVファイルでサンプルデータが用意されているが、ツールとしてはExcelファイルやデータベースから直接読み込むことも可能である。また、カレンダーのように個別にならないデータは、スクリプトで生成させることもできる(QlikViewの機能)。
こうして分析用のデータをロードした後、それらを視覚化するダッシュボードのレイアウトに入る。今回は時間の関係で、ロードした講習受講者のアンケート結果データから、ある質問項目の回答(アンケート回答1。0番~4番の選択肢から選ぶ形式)を棒グラフにして配置するだけになった。市古編集長はグラフの種類を選択し、データソースを指定するなどして、まっさらなダッシュボードに棒グラフを配置してみる。ライター泣かせだが、あっさり作成できた。
実は、この「あっさり作成できた」ところにBIツールの強みが現れている。拝野氏によれば、BIツール活用のメリットの1つは「データ可視化のスピード感」だという。これにより「データを元にした意思決定とそれによる次の打ち手をスピーディーに実行できる」(拝野氏)からだ。
触れてみる前には不安げだった市古編集長だが、棒グラフを配置できて表情はすっかり自慢げである。やはり、実際に触ってみるのは大切かもしれない。が、「本来は、これから部品をきれいに並べていく作業が待っています」と拝野氏。BIツールの重要ポイントである「効果的な視覚化」のためには、画面レイアウトも重要なファクター。グラフも置いただけではダメなのである。
拝野氏によると、ダッシュボードをレイアウトするときのポイントは「重要な指標は目立つ場所に配置すること」だという。ツールの使い方を知るだけでなく、ツールを使った効果を最大化するためのアドバイスを得られるのは、教室での研修ならではのメリットだ。
やや脱線するが、現実的にはデータを準備する行程がデータ分析で最も時間と手間がかかるといわれている。多様なデータを分析しようとすると、あちこちからデータを収集する必要がある。業務データなら基幹システムへのアクセス権も関係してくるので、いろいろと調整が必要になる。データソースが別ならデータの形式が異なるため、データを整形したり、加工する必要が出てくる。例えばデータを関数を用いてテキスト型から日付型へ変換するなどだ。
拝野氏はそうした工程を「データの“クレンジング”ともいいます」と言うと、市古編集長は「野菜を洗っているみたいですね」と返す。クレンジングで洗うといえば、ふつう顔じゃないか?
残念ながら、今回はタイムアップでレイアウトを行うまで至らなかったが、BIツールの特性やメリットを理解できた市古編集長であった。
業務部門の人こそBIを学ぶべき、だからまずツールに触れてほしい
9月開講の「体験! ビジネスインテリジェンス ~さわってナットク!BIツール~」コースは体験がメインなので、BIの概要をつかみ、「これ、いいじゃないか。現場でもやってみよう」とBI実践へ第一歩を踏み出すことを目標としている。BIに関した研修というと、比較的高度な技術者向けが多く、こうした初心者コースはこれまでなかなかなかったという。
BIやデータ分析の必要性はよく語られつつも、IT部門以外の人にとっては遠い存在かもしれない。本稿で紹介した体験コースはBIツールに実際に触れ、身近に感じて「自分にもできる」と自信をつけることも目標の1つになっている。
なお、体験コースの後、より高度なBIのコースへとステップアップすることもできる。今回の受講想定者からは外れるものの、開発者向けコース、管理者コースもあるという。BIスキルを身に付ければ、その先はまだ広がっているということだ。
研修の後にBIについて学び、情報収集するにはどうしたらいいだろうか。拝野氏は「1つは各製品のコミュニティに参加することです。いろいろな情報が提供されていますし、素朴な疑問などであればQ&Aを検索すれば見つかります」とアドバイスしてくれた。
最近では「アナリティクス 3.0」という言葉も出てきていると拝野氏は言う。当初企業が持つ顧客データや売上データなどを分析していたのが1.0、SNSなど社外にあるデータも組み合わせて分析して意思決定に役立てるようになったのが2.0、そして新しい3.0では分析や予測にとどまらず意思決定を自動化するところまで進んでいる。あらゆる産業・企業でデータ分析の普及が広がっているのも3.0時代の特徴だ。
拝野氏は「BIは可視化のツールであり、経験の裏付けとなります。ビジネスの次のアクションにつなげるためにも使えるので、現場主導で使ってもらいたいです」と話す。データサイエンティストは統計学の知識などを駆使してデータを深く分析するが、BIはビジネス現場の判断に役立てるための分析に向いている。それゆえ現場をよく知る現場の人間ならどのデータが分析の鍵になるかも見いだしやすい。現場の人間こそBIを学ぶべきなのだ。