IPA(情報処理推進機構)は、IT人材の学び直しや流動の実態、企業の変革および組織・人材マネジメントなどの実態把握を目的とした「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)」の報告書を公開した。
調査の概要は以下のとおり。
個人アンケート調査
- 調査期間:2022年1月7日~28日
- 調査対象:企業に所属するIT人材2136人/フリーランスのIT人材482人
企業アンケート調査
- 調査期間:2022年1月7日~26日
- 調査対象:IT企業889社/事業会社1046社/計1935社
IT人材が転職を志向する割合と、企業におけるIT人材不足感
転職に対して、「より良い条件の仕事を求めて積極的に行いたい」と回答した割合は、先端領域のIT人材(データサイエンス、AI・人工知能、IoT、デジタルビジネス/X-Tech、アジャイル開発/DevOps、AR/VR、ブロックチェーン、自動運転/MaaS、5G 、その他先端領域の各領域に関するサービスに従事する人材)では30.3%で、昨年度(15.4%)からほぼ倍増した。事業戦略上必要なIT人材の「量」は、事業会社において「大幅に不足している」「やや不足している」割合の合計が73.5%で、昨年度(88.2%)より低下したものの、依然として不足感は高い状況にある。
IT人材個人におけるスキル習得の必要性と、新たなスキルを獲得するメリット
新しいスキル習得の必要性について、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した割合は79.0%で、昨年度(69.2%)から10%増加した。一方、直近1年においてスキル向上や新たなスキル獲得をした人のうち、非先端領域のIT人材の23.6%がメリットを感じていないと回答した。
企業における先端領域のスキルを活かす場と、本人意向を尊重した自己申告制度
先端領域のスキルを活かす場があるかどうか調査したところ、5割程度の企業は「かなりある」「多くはないがある」と回答した。しかし、本人の意向を尊重した自己申告制度(配置・職種転換)を持つ企業の割合は23%で、「キャリアサポートを行っていない」割合が36.7%であった。企業において、自社の事業戦略と個人のキャリア戦略のマッチングをいかに整合させるかが課題として示唆されたという。
同調査ではこのほか、適職度とエンゲージメント、ミドルマネジメントの役割などの調査項目や、IT人材を先端領域への転換実績や志向の有無で5つの「転換タイプ」に分類した分析などが記されている。全文は、IPAのWebサイトからダウンロード可能となっている。
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