タレントアクイジションの要諦
ただし、人材要件を定義するだけでは十分ではないという。
「タレントアクイジションの要諦は3つあります。要件定義、つながる力、そして選ばれる力です」(近藤氏)
優秀な人材ほど、今すぐ転職を考えているとは限らない。潜在層にアプローチし、関係を築き続ける“つながる力”が不可欠だ。そして、いつ転職のタイミングが訪れても自社を選んでもらえるよう、継続的に情報を届け、魅力を伝え続ける“選ばれる力”も求められる。
「せっかく優秀な人材と接点を持っても、関係を継続できなければ意味がありません。1年後、2年後に転職へと動く人もいます。だからこそ、接点を持った人を口説き続ける設計が重要なのです」(近藤氏)
選考辞退者や元社員を候補者リストに変える仕組み
そこで注目されているのが、タレントプール採用だ。
「タレントプールは、いま応募している人を管理するだけの仕組みではありません。採用の全体ファネルの中で接点を持った人と、継続的につながっていく考え方です」(近藤氏)
従来の採用では、求人広告や人材紹介、スカウトを通じて応募を獲得し、選考を行う。そして、応募に至らなければ接点は途切れていた。しかし現在は、SNSやオウンドメディアを通じて企業に興味を持つ層も多い。今すぐ転職を考えていなくても、情報収集の一環として企業サイトを訪れる人もいる。こうした応募前の層に対しても、直接タレントプールへ登録できる導線を設けることで、潜在層を蓄積できる。
選考フェーズも同様だ。優秀ではあるもののタイミングが合わず見送った候補者や、カジュアル面談を実施したが転職意欲が高くなかった人材も、将来的に入社の可能性を持つことは想像に難くない。
また、退職者(アルムナイ)も重要な対象となる。別の環境で経験を積んだ後、再び自社に関心を持つケースもあるだろう。
「今応募している人だけではなく、選考でお見送りになった人や、いまは転職意欲が高くない人、退職された人も含めて、接点を持った人材を蓄積していくことが重要です」(近藤氏)
多様な人材を蓄積しておくことで、自社の採用ニーズが発生した際には、外部データベースに依存するのではなく、自社のプールから探せるようになる。さらに、継続的な情報発信を通じて自社の魅力を伝え続けることで、転職のタイミングが訪れたときに「選ばれる状態」をつくれると近藤氏は解説した。


