日本マンパワーは、リモートワークが働く人々の価値観や意識にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的に調査を行った。本調査は、新型コロナウィルス流行の影響を受け、リモートワークを新たに開始した20~60代の男女、2060名を対象に2020年7月1日~2020年7月3日の期間で実施。
アンケートでは、自身のキャリアへの満足度が高い人ほど、リモートワークを前向きに捉え(12.8ポイント差)、満足度が低い人ほど、リモートワークに疲弊感・不安感が高い(28.6ポイント差)という結果が現れた。キャリアへの満足度が高い人は環境変化を自律的に捉え、内的キャリアの充実と意欲の維持ができているといえる。コロナ禍において、キャリア形成支援が大切だろう。
また、今の自身のキャリアに満足している人ほど、コロナ前よりコロナ後のほうが仕事と生活のバランス(調和)が良くなったと答え(22.8%)、満足していない人ほど悪くなったと答えた(17.4%)。仕事と生活のバランスは、自身のキャリアへの満足度と相関があり、影響が大きいことが伺える。コロナ禍で家族との時間が増加し、仕事と生活の境目が少なくなったことも要因だと考えられる。また、時間やスペース、役割配分の再調整が発生した際に、キャリアに満足している人ほど、主体的・意識的に対応できたとも考えられる。
年代別で見ると、新型コロナの影響を受け疲弊感・不安感を感じているのは20代前半が多い。20代前半の層は、リモートワークになることで職場の文脈が読みにくく、仕事で主体性を発揮できず、不安や孤独を味わっている姿が想像される。上司との間では核家族ならぬ核上司部下の関係に陥りやすいため、ななめや横の関係が手薄になり、失敗などからの立ち直りが遅くなっている可能性もある。
社外の専門家に個別に相談できる窓口(メンタル、キャリアなど)について、20~24才は24.6%と、全体平均(16.4%)よりも多くの人が重要と考えている。20代前半ほど、不安やストレスを抱えており、社外の専門家への個別相談を重要視している。このことを、専門家に相談するということになじみがない40代、50代が意識しておくことが大変重要である。相談機能を上手に使いこなすということは、リモートワーク時代にセルフマネジメントを行う上で大切な要素となるかもしれない。
さらに、同期や同僚とのつながりを感じることについて、20~24才は32.8%と全体平均(20.9%)よりも多くの人がより重要だと考えている。新入社員および入社して間もない世代は、職場や会社でのつながりが希薄のため、リモートワーク下で孤独を感じていることが推察される。そのため同期や同僚とのつながりを実感する施策が求められる。
オフィスワークと比較して、リモートワークで成果を上げるために、重要度が高まる能力について、デジタルツールに関する知識が過半数を超えたほか、3人に1人は「自分のこころを整える力」「モチベーションをコントロールする力」「運動やストレッチに関する力」「栄養や食事に関する知識」などと回答した。セルフマネジメントを実践する上で、メンタル・フィジカルは今まで優先的に整備されなかったテーマのため、今後の組織的な取り組みが課題になると思われる。