キャリアデザインセンターは、同社の転職サイト「女の転職type」において、2020年の転職求人倍率や求職者の傾向、求人の傾向をまとめた「2020年女性の転職市場レポート」をリリースした。調査期間は2019年1月1日~2020年12月31日。
転職求人倍率は、緊急事態宣言後の2020年5月に大きく低下。先の見通せない状況下で、5月から採用を抑制した企業が多かったことが、転職求人倍率低下の要因と考えられる。一方で2020年9月以降は、転職求人倍率は右肩上がりの回復傾向。2020年5月時点では前年比の55.2%まで落ち込んだ転職求人倍率だが、2020年12月には前年比76.3%まで回復した。
コロナ禍の影響を見る上で応募時の就業状況に着目したところ、2020年4月頃から「就業していない」状態で求人へ応募する人が40%台に増加していることが分かった。このような背景には、コロナ禍の影響で退職を余儀なくされた人や、経済的な面で未就業だったが働く必要ができた人が増えた可能性が考えられる。
前年比で最も転職求人倍率が低下しているのは「サービス・販売系」職種で、前年比50.4%と半分程度まで大きく低下の傾向が見られた。次いで、「介護・医療・福祉系」職種が51.5%と前年比が2番目に低い傾向だった。一方で「エンジニア、技術者、IT・システム系」職種は前年比で80.5%と減少幅が最も少ない結果だった。このような結果から、コロナ禍においてもエンジニアの採用ニーズは引き続き高いことが分かった。
前年比で転職求人倍率が大きく減少した「サービス・販売系」「介護・医療・福祉系」職種だが、異職種へ転職する人は前年比でそれぞれ「+0.8%」「-0.6%」と大きな変化はみられなかった。一方で「エンジニア、技術者、ITシステム系」「クリエイティブ系」職種に関しては、前年比で同職種へ転職を希望する人の割合が増加している傾向が見られる。また事務職に関しては、他の職種と比較して同職種への転職を希望する人の割合が非常に高いことも分かった。
「エンジニア、技術者、システム系」職種では、「未経験OK」の求人が2019年の27.4%から2020年は19.4%と減少傾向だった。同様に「クリエイティブ系」職種も、2019年の43.7%から2020年は32.6%と減少している。より専門スキルが必要な職種に関しては、従来以上に経験者への採用へ企業側が採用ターゲットをシフトしていたことが分かる。また、より経験者採用の強化をしていたからこそ、このような職種だけ、同職種へ転職する割合が前年より伸びていたとも考えられる。
一方、従来「未経験OK」の求人の割合が高い職種に関しては、「未経験者OK」の求人の大きな減少は見られなかった。もともと未経験者を積極的に採用している職種に関しては、2020年以降のコロナ禍においても、未経験者でも転職のチャンスがあることが分かる。