バージョン4.5(以下、Ver4.5)で出題範囲に取り入れるのは次のテクノロジー。いずれもエンタープライズ環境での利用が拡大していることが背景にある。
- systemd:新しいinitシステム。Linuxの起動プロセスを高速化するほか、Linux上のサービス管理を簡素化する
- SSSD(System Security Services Daemon):複数ドメインの中央管理によりメンテナンス性を高めるほか、認証データをキャッシュとして保持することで、一時的なネットワーク障害時にも安定した認証サービスを提供する
- Btrfs(B-tree file system):ファイルシステムの1つ(読み方はバターエフエスなど)で、メタデータのミラーリング、スナップショットといった機能によりLinuxの高い障害耐性や障害復旧を実現。Linuxのストレージ管理も柔軟にする
- Sieveフィルタ:受信メールの分類と優先順位付けを可能にする
また、次の技術や知識を出題範囲に取り入れることで、認定者の技術力向上も図っている。
- UEFI、NVMe、DKMSおよびIPv6を広範に取り入れ、最新のハードウェアとネットワーク技術を採用してLinuxを強化する能力
- iotop、htopおよびssなどのツールを使用した高度なトラブルシューティング技術
- すべてのネットワーキングサービスのためのTLSの暗号化を用いたデータおよびプライバシーの保護技術
- Apache 2.4、Samba 4.0、OpenLDAPおよびDovecotなどのソフトウェアの新規リリースに含まれた新機能に関する知識
LPICレベル2を取得するには、レベル1資格を保持している上で、201試験と202試験という2つの試験に合格する必要がある。Ver4.5の出題範囲はこちら(201試験・202試験)を参照のこと。現行のバージョン4.0(以下、Ver4.0)から新版Ver4.5になり変更される点を次表に挙げる。
主題番号 | 変更の内容 |
---|---|
200.1 | iotop、htop、ssおよびiptrafを追加 |
200.2 | collectdを認知レベルに低減。Icinga2を認知レベルで追加 |
201.1 | Linux Kernel 4.xおよびxzデータ圧縮を包含 |
201.2 | Linux Kernel 4.xおよびDKMSを包含 |
201.3 | Linux Kernel 4.xを包含 |
202.1 | systemdを追加し、出題範囲のタイトル「SysV-initシステムの起動をカスタマイズする」を「システムの起動をカスタマイズする」に変更 |
202.2 | UEFIおよび NVMe起動の包含 |
202.3 | liloを削除し、UEFI起動を追加し、systemd-bootとU-Bootを認知レベルで追加 |
203.1 | systemdにmount unitを追加 |
203.2 | Btrfsの基本操作の追加、および認知レベルでZFSを追加 |
203.3 | systemdにautomount unitを追加し、暗号化ファイルシステムの範囲としてdm-crypt/LUKSを明確化 |
204.1 | (変更なし) |
204.2 | SSDとNVMeの設定を追加、および認知レベルでSANを追加 |
204.3 | lvm.confを追加 |
205.1 | iwを追加 |
205.2 | ssとping6を追加 |
205.3 | systemd、ip、ss、ping6、traceroute6およびmtrを追加 |
206.1 | xzを追加 |
206.2 | 認知レベルでBareosを追加 |
206.3 | systemctlを追加 |
主題番号 | 変更の内容 |
---|---|
207.1 | named-checkconfを追加し、権威DNSサーバおよび再帰検索DNSサーバが含まれることを明確化 |
207.2 | named-checkzone、named-compilezoneおよびmasterfile-formatを追加 |
207.3 | 認知レベルで ANEと関連レコードを追加 |
208 | 出題範囲のタイトル「Webサービス」を誤解のないよう「HTTPサービス」に変更 |
208.1 | Apache HTTPD バージョン2.4を対象とし、認証のモジュールを明確化し、mod_access_compatを包含 |
208.2 | SNIおよび安全でないプロトコルと暗号の無効化を追加し、SSLCertificateChainFileを削除 |
208.3 | (変更なし) |
208.4 | (変更なし) |
209.1 | Samba 4を含み、ワークグループの設定から、スタンドアロンとADメンバーサーバーに特化するよう更新 |
209.2 | (変更なし) |
210.1 | radvdを含む、DHCPv6およびIPv6ルータ広告を認知レベルで追加し、ロギングの領域にsystemdのジャーナリングを含む説明に変更 |
210.2 | 認証のためのSSSDの基本機能を追加 |
210.3 | (変更なし) |
210.4 | OpenLDAPのディレクトリベースの設定を包含し、ファイルベースの設定を削除し、認知レベルのSSSDを削除(210.2に移動) |
211.1 | postfix向けTLSの設定を追加 |
211.2 | procmailを認知レベルに低減し、Sieve、Dovecotのvacation拡張を追加。出題範囲のタイトル「ローカルの電子メール配信を管理する」を「電子メール配信を管理する」に変更 |
211.3 | courierを認知レベルに低減し、dovecot向けのTLSの設定を追加。出題範囲のタイトル「リモートの電子メール配信を管理する」を「メールボックスアクセスを管理する」に変更 |
212.1 | IPフォワーディングが含まれることを明確化し、IPv6(ULA、LLAおよびip6tables)を追加 |
212.2 | (変更なし) |
212.3 | (変更なし) |
212.4 | (変更なし) |
212.5 | (変更なし) |
なお、2017年2月13日より試験がVer4.5へ移行された後も、6か月間はVer4.0の試験も並行して実施される。その間、受験者はVer4.0、Ver4.5のどちらでも選んで受けることができる(LPI-JapanではVer4.5での受験を推奨)。ただし、バージョン(や試験番号)が違っても試験は同一科目であり、通常の再受験ポリシーが適用される。2回不合格になった場合、3回目の受験ができるのは、バージョンを変えても2回目の受験日の翌日から起算して30日目以降となる。
LPIC試験はレベル2も含め、日本全国のピアソンVUE認定試験会場で受験できる。受験する際には、ピアソンVUEのWebサイトで受験予約を行うが、予約画面でVer4.0、Ver4.5の試験はそれぞれ次のように表示される。予約時に間違えないよう注意しよう。
試験 |
予約画面で表示される 試験番号 |
予約画面で表示される 試験名 |
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201試験(Ver4.5) | 201-450 | LPI Level 2 Exam 201, Part 1 of 2, version 4.5 |
202試験(Ver4.5) | 202-450 | LPI Level 2 Exam 202, Part 2 of 2, version 4.5 |
201試験(Ver4.0) | 201-400 | LPI Level 2 Exam 201, Part 1 of 2, version 4.0 |
202試験(Ver4.0) | 202-400 | LPI Level 2 Exam 202, Part 2 of 2, version 4.0 |