カスタマーゼロとしての実践、Salesforce自身のAIエージェント活用の効果は?
Salesforceは、2024年秋にAIエージェント開発・運用技術「Agentforce」を発表。同時に自社でも積極的に業務に活用してきた。Agentforceの発表から1年が経過した現在、AIエージェントは同社の業務を変えているという。
たとえばサポートエンジニア。顧客から上がるケースへの対応が主な業務で、何百万件もの問い合わせに応じている。このような状況に対し、問い合わせの入り口となるhelp.salesforce.comでAgentforceが顧客に対応することで、簡単なものであれば解決まで自動化している。この結果、サポートエンジニアは定型的な問い合わせ対応から解放された。
「複雑なシステム設定、顧客先に出向いての技術コンサルティングなど、人間の専門知識が求められる高付加価値の仕事に集中できるようになった」(Scardino氏)。
営業部門でも変化があった。Scardino氏によると、「入ってくるリード(見込み客情報)の件数は週に25万程度。人間の労働力は、この膨大なリードの約30%にしか対応できていなかった」という。この課題に対し、Agentforceを用いて開発した営業開発のSDR(Sales Development Representative)エージェントを導入。SDRエージェントが価値の低い取引的なリードを拾い上げ、営業チームのためにパイプラインを生成する。初期段階のリード対応を自動化することで、人間の営業担当者は重要な顧客との関係構築に専念できるようになったという。
社員が人事制度や社内の手続きなどを問い合わせることができる従業員エージェントも、効果を生んでいる。従業員エージェントは個人のデータとペルソナに基づき、上司、福利厚生、関連ポリシーなどを理解している。「新入社員が入社すると、ポリシーや福利厚生を知るために複数のシステムに行く必要があった」とScardino氏、従業員エージェントを利用することで「高度にパーソナライズされた情報を即座に提供できる」という。
このような業務ごとの効率化に加えて、「大きなポイント」とScardino氏が話したのは「AIエージェントがサイロを知らないこと」だ。従来の組織では部門間の壁が情報共有を阻むことが少なくない。だが、AIエージェントはそうした境界を意識しない。AIエージェントの導入により、たとえば、サービスエージェントが顧客対応をしながら、営業データにもアクセスしてアップセルやクロスセルの提案を行う、といったことが可能になる。部門を超えた情報が統合されることで、これまでにない働き方が可能になっているという。
なお、AIエージェント活用における従業員の業績評価について、Salesforceは、現時点ではAIエージェント使用を報酬や評価に直接連動させていない。「模範を示すことでリードする」というアプローチで、全社的にAIエージェント活用を促しているという。

