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HRモダナイゼーション ~グローバルのベストプラクティスに学ぶ日本人事への提言~ | 第5回

「経営戦略とつながる人事戦略」のよくある間違いと戦略構築のためのフレームワーク【人材ギャップ把握編】

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 人的資本経営ブームの中「経営戦略と人事戦略の連動」が大事だといわれています。大事であることに間違いはありませんが、問題は「人材が重要」と宣言して人事施策をたくさん実施しておけば、経営戦略と人事戦略の「戦略連動感」を対外的にアピールできるだろうと考えているケースが増えていることです。実際には、社内では連動性が強まっていない、それどころか悪化している例もあります。そこで今回は、経営戦略と人事戦略の連動について、日本企業にありがちな間違いを再認識するとともに、経営戦略とつながる人事戦略フレームワークの一部(残りは次回)を紹介します。

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経営戦略と連動していると見せかけた上っ面人事戦略

こんな課題はありませんか?

  • 人材の採用、育成、評価、登用・配置などの活動がぐるぐる回る「タレマネサイクル」の絵を掲げてみたが、経営や事業に貢献する回り方をしている実感がない
  • 流行だという人事施策を次々に取り入れたので人事先進企業になっているはずだが、各施策がうまく連動せず、期待どおりの効果が得られていない
  • 会社の考えと従業員1人ひとりの意思が対等に向き合うことで、「会社も従業員も幸せになる絵」を掲げてみたが、会社側としての経営層や組織長も、従業員側も、お互い画餅感を感じている

 昨今、多くの企業が「人事部門は戦略人事になります!」宣言をしています。人事として経営に貢献する人事戦略[1]をつくり、戦略を遂行できるプロ人事体制をつくり、これまで以上に経営に貢献していくということのようですが、「貴社の人事戦略を教えてください」と質問すると、「人的資本経営に力を入れる」「エンゲージメントを向上させる」「タレントマネジメントシステムを導入する」「考え中です」「分かりません」といったふわりとした回答が返ってくることが少なくありません。「なぜですか?」と聞くと、「大事そうだから」「他社もやっていそうだから」「決まったことだから」と返ってきて、上っ面人事戦略だと確信してしまうこともあります。

 さらに問題なのは、当事者である経営層や人事部門自身もその上っ面感を薄々認識していながら、人事戦略や人事変革と真剣に向き合っていないことです。なぜ上っ面人事戦略づくりが連綿と繰り返されているのか、経営戦略と人事戦略との連動イメージから考えてみます。

[1]: 経営戦略の一部として組織や人材をどうしていくかを指して「組織戦略」「人材戦略」ということもありますが、本稿では人事部門が組織戦略・人材戦略をリードしてほしいという意味を込め、「人事戦略」という言葉に集約して使用しています。

ぼやけ気味の経営戦略と人事戦略のつながり

 経営戦略とは経営目標を達成するための方針です。短期であれば直近の単年ビジネスプランやその実現方針ですし、中期であれば多くの日本企業が立てる中期経営計画、5年以上先を見据えた長期視点では、20XXビジョン、長期構想などもあります。

 一方で人事戦略は、スローガンやつながりが薄めの人事施策を羅列したものであることが多いです。日本企業の統合報告書などの対外開示情報を見ると、従業員に寄り添ったやさしい世界観やメッセージがあり、そのために従業員エンゲージメント向上、タレントマネジメント、キャリア自律推進、ジョブ型人事などのはやりの人事施策キーワードを並べて、「たくさんの施策を始めました! がんばります!」という内容が少なくありません。

 報告書全体としても、「従業員は自社にとって最も重要な財産ですので、人的資本経営に力を入れています」という社長挨拶からはじまり、「人的資本経営のための人事施策にたくさん取り組んでいます」へと流れるように記述することで、人事戦略が経営戦略とつながっているような印象を与えますが、個々の施策がどう経営に貢献しているのかという視点で見ると、各施策がなぜ必要なのか、何を狙っているのかがぼやけています。

 人事戦略を考えている側からすると、人的資本経営において重要といわれる従業員エンゲージメント向上やキャリア自律に取り組むと従業員は喜ぶはずで、従業員が喜ぶとみんながんばって働くような気がするし、財務指標とも統計的に正の相関があるようなので、経営目標を達成できるだろう、ということなのでしょう。

 前向きな気持ちで人事施策を打ち出していくのはすばらしいことなので、取り組みに対する想いは否定しません。しかし、残念ながら経営戦略との連動がぼやけています。結果として、人事戦略として始めた各種施策は、事業部側から必要性を感じてもらえていなかったり、従業員からそもそも認知されていなかったりして、有効に機能していないという状況に陥りがちです。

 同じくコーポレート機能であるファイナンス部門は経営戦略との連動性が明確です。なぜなら、経営戦略は定性的なことも語りますが、必ず数値目標や財務指標(売上、利益、ROE、ROIC、時価総額、PBRなど)とひも付けられるからです。自ずとファイナンス部門やCFOは、経営の超重要機能と位置付けられます。「CxOの中でCHROが存在しない」「格下扱いされがち」というのは“人事あるある”ですが、CxOの中でCFOが格下扱いされるという事例はほとんどありません。

 では、人事部門と財務指標のつながりはどうかというと、「人材の『材』を『財』に変えました」という漢字のつながりくらいで、経営戦略とのつながりがぼやけています。そのため、経営層は「人材が一番大事」とは言いますが、人材を扱う人事部門をあまり重要だと思いません。人事部門にプロフェッショナルさを期待することは少なく、人事施策への投資優先度が低く、CHROのような人事リーダーの人材要件を軽視しがちです。

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この記事の著者

籔本 レオ(ヤブモト レオ)

ワークデイ株式会社 チーフHRストラテジスト。外資系コンサルティングファームにて、HRトランスフォーメーションを中心とした人事領域のコンサルティングに従事。その後、 事業会社(日本企業)に移り、人事部門の立場から戦略的なHRオペレーティングモデルへの変革をリード。Workdayに入社する前は、外資系...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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