「初任給・報酬水準引き上げ」「賞与の給与化」「社員に株式付与」など、ニュースで報酬制度改革の見出しを見ることが増えました。見出しに挙がらなくても、職務等級制度、役割等級制度といった等級制度改定に取り組む会社の多くでは、報酬制度も刷新しています。これらの制度刷新は人材のパフォーマンス・リテンション向上に貢献しているのでしょうか。グローバル先進企業の考え方と合わせて説明します。
報酬はしょせん「衛生要因」でしかない?
こんな課題はありませんか?
- 報酬制度を刷新したが、従業員のパフォーマンスやリテンションが向上している実感がない
- 報酬水準を引き上げたが、かえって従業員から不満が挙がるようになった
- 「Pay for Performance」を掲げているが、現場では“そこそこ”に過ごすほうがコスパが良いと思われている
仕事における人間の動機付けを、不満をなくすことにつながる「衛生要因」とやる気を出すことにつながる「動機付け要因」に分けたハーズバーグの二要因理論において、「報酬・給与」は衛生要因に分類されています。報酬が低いと不満につながるが、引き上げたからといって不満解消以上の動機付けにはつながらない、ということです。従業員エンゲージメントサーベイのキードライバー(従業員エンゲージメントの高低に大きな影響を与える要因)分析においても、「報酬」が要因として挙がってくる例は少ないです。
一方、「Pay for Performance(ペイフォーパフォーマンス:成果に対する支払い)」という考え方もあります。分かりやすい例は、営業のコミッションやインセンティブのような歩合給ですが、グローバル先進企業ではPay for Performanceの解釈を広げて、従業員のパフォーマンス・リテンション向上のために活用しています。
「報酬は衛生要因だから」と不満が出ない程度に市場水準とのバランスをとるだけでは、経営としては良い「人材への投資」とはいえません。タレントマネジメントの仕組みの一部となりえる報酬制度活用が必要です。
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籔本 レオ(ヤブモト レオ)
ワークデイ株式会社 チーフHRストラテジスト。
外資系コンサルティングファームにて、HRトランスフォーメーションを中心とした人事領域のコンサルティングに従事。その後、 事業会社(日本企業)に移り、人事部門の立場から戦略的なHRオペレーティングモデルへの変革をリード。Workdayに入社する前は、外資系ソフトウェア企業にて...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

