リクルートスタッフィングは、障がい者雇用を行っている企業(従業員数25~5000人以上)における経営者、人事・労務担当者、総務担当者を対象に、「障がい者雇用の実態調査」を実施した。調査期間は2021年6月5日~7日。
同調査は、民間企業における障がい者雇用の現状を把握することにより、これからの障がい者雇用について考えることを目的としている。調査結果は以下のとおり。
■2021年3月に障がい者の法定雇用率が2.3%に引き上げられたことを受け、障がい者雇用への取り組みについて企業に聞いたところ、「今までよりも障がい者雇用数を増やす予定(36.0%)」に加えて、「今までと同程度の障がい者雇用数を維持する予定(50.6%)」と、障がい者の方の採用に積極的であることが分かった。

■障がい者雇用を推進して良かった点を聞いたところ、多いものから順に「従業員における障がい者への理解が深まった(45.7%)」「障がい者と一緒に働ける環境が整ってきた(33.1%)」「ダイバーシティが推進された(25.9%)」など、障がい者の方と一緒に働ける環境づくりに関する回答が多くあげられた。

■障がい者雇用の課題について聞いたところ、多いものから順に「障がい者の方に任せる仕事の切り出しが難しい(42.8%)」「就業場所の確保が難しい(34.0%)」「業務マネジメントが難しい(26.6%)」という回答が得られた。

■障がい者雇用をより推進するために行っていることを聞いたところ、多いものから順に「受け入れ部署の理解促進(48.8%)」「障がい者の方が働きやすい制度や勤務体系の導入(36.1%)」と、障がい者の方が働きやすい環境づくりを中心に取り組んでいることが分かった。

■自社で雇用している障がい者の在宅勤務(テレワーク)導入有無・検討状況についての状況を聞いたところ、「導入している(35.9%)」「導入していないが、今後導入していきたい(13.4%)」と約半数の49.3%が障がい者雇用におけるテレワークを導入、または今後の導入を検討していることが分かった。

この調査結果について、リクルートスタッフィング エンゲージメント推進部 アビリティスタッフィンググループ マネジャー 飯尾朋子氏は次のように述べている。
「本調査より、法定雇用率の引き上げに伴い、企業の障がい者雇用に対する積極的な姿勢が見られました。その背景としては、法定雇用率の達成ということもあると思いますが、障がい者の方と一緒に働くことで得られるメリットについても真剣に考え、取り組まれている声も多くありました。あらためて、障がい者の方と一緒に働く環境整備が進んできていると感じます。
一方で、障がい者雇用における課題は従来と変わらず、「業務の切り出し」や「就業場所の確保」が難しいことがあげられていますが、近年こういった課題をうまく解決している企業も多く見られます。これらの課題を感じている企業様には、成功企業の情報や課題に関する事例をキャッチアップしながら、まずは一歩踏み出すことをお勧めします。
また、障がい者雇用をより推進していくために、障がい者の方が働きやすい制度や環境整備を進めている企業が多く見られましたが、その一環として障がい者雇用の方のテレワーク導入も見られました。今後も、より多様な働き方が増えていくことが予想されます」(飯尾氏)