女性活躍推進法施行から5年が経つ中で、自治体や企業による管理職への女性の登用にむけた取り組みは社会的急務となり、男性の家事・育児への積極的参加や、女性のビジネススキルアップ機会創出といったさまざまな対策が打ち出されてきた。しかし、当の働く女性たちは、自分が昇進して管理職に就くことに対して、どのように考えているのだろうか。博報堂の「博報堂キャリジョ研」は、6月29日に20~30代男女に対して「女性のキャリア意識調査」を行った。700人(女性500人に対する比較として男性200人)から回答を得ている。
20~30代の女性の管理職意向度は、「なりたい」「ややなりたい」のトップ2で32%にとどまる。対して、男性はトップ2で56%と過半数を占めている。管理職よりはリーダー意向度は高めであるが、同様の傾向で男性の意向は58%に対して女性の意向は42%。
管理職・リーダーになりたくない理由について、20~30代女性は「責任が重くなるのが嫌だから」「仕事よりも趣味やプライベートを大切にしたいから」が4割前後と高く、男女間でスコアの差も大きい。さらに、男女の差分が大きいものとしては、「目立ったり、人目を引いたりすることになるのが嫌だから」「大きな方針や指針を示すことが苦手だから」「チームを率いることが苦手だから」など、人より前に出て動くことへの抵抗感やチーム運営をしていくことへの不安がうかがえる。
理想の管理職・リーダーのイメージは、いずれの項目においても女性のスコアが高いという結果に。管理職やリーダーに求めることが多く、反対に自分がなる場合のハードルの高さにもつながると推察される。
トップ3の項目に絞って見ると、ともに「部下やメンバーへの正しい評価」が挙がる。男女の違いとして、女性は「部下やメンバーのモチベーションを上げ、やる気を起こさせることができる」「常に適切な距離感で、部下やメンバーのことを見守ってくれている」など、部下自身への育成やケアを意識しているのに対して、男性は「部下やメンバーを信頼し、仕事を任せてくれる」「部下やメンバーひとりひとりの意見と向き合い、まとめ上げることができる」といった仕事の円滑な遂行を意識している。
管理職・マネージャーになりたい理由は男女ともに「給料が上がる」「達成感を感じる」が高く、約半数を占める。差分で見ると、女性は「部下や周りに頼られる」「社内外のネットワーク広がる」など対人関係や働く環境への意識が高いのに対して、男性は「社会地位が上がる」「自分の意見が通しやすい」が高い。