SmartHRは、同社が運営するクラウド人事労務ソフト「SmartHR」において、SmartHRに登録された従業員へ簡単に評価シートを配信できる「人事評価」機能を10月28日より提供開始する。同機能は、SmartHRに登録された従業員情報をもとに評価シートの作成・配信から、将来のデータ活用を見据えた評価データ蓄積までを担う。
多くの企業では人事評価業務を未だ紙や表計算ソフトで行っており、同社が実施した「人事評価業務に関する調査」によれば、人事評価業務すべてをシステムで行っている企業は3割にとどまっている。また、業務が複数のツールにまたがることで担当者の負荷はより大きなものとなり、紙と他ツールを併用し評価業務を行う担当者のうち65%が評価シートの準備や配布など工数を負担に感じ、55%が心理的負担が大きいと回答した。
今回提供を開始する「人事評価」機能では、SmartHRに蓄積された人事データを人事評価業務に活用することで、担当者が感じている上記のような業務負荷を軽減するとともに、評価を入力する従業員一人ひとりの生産性も向上させるという。
人事評価機能の特徴は以下のとおり。同機能は、SmartHRユーザー企業にオプション機能として提供される。
評価テンプレートの作成
- 部署・雇用形態別など、複数の評価シート作成が可能
さまざまな入力方式に対応
- 評価シートはテキスト入力フォームの実現はもちろん、表組みや選択肢入力フォームなど様々な入力形式に対応
- 現在の評価シートをそのまま実現でき、複雑な操作なく運用を開始
柔軟な権限設定
- 評価シート内では、項目単位で柔軟に権限を設定できる
- 閲覧、編集、閲覧不可から設定できるため、安全な運用が可能
効率的な進捗管理
- 評価業務の進捗は可視化され、管理を効率化 リマインダー機能も備え、評価記入漏れを防ぐ
顧客課題を一つひとつ解決していくのがSmartHRの姿勢
なお、SmartHR PMMグループ 北原詩緒里氏によれば、労務支援システムであるSmartHRは、入社時点から人事データの蓄積を始めており、また給与情報など人事評価で考慮・反映するべき事項も内部に持っていることから、データ移行・連携などなしにシステム内で人事評価業務を完結できる点で優れているという。労務とは一見関係のない取得資格といった情報も、SmartHRでは蓄積できる。
人事評価機能は今後、機能拡張を図っていく。10月28日にリリースする同機能は次図の上半分。来年以降、評価の甘辛調整や新給与の決定、新条件の通知といった、評価を回収した後の工程を効率化する機能を追加する予定だという。
さらにその先の予定として、2020年9月にリリースされた「従業員サーベイ」機能と組み合わせ、評価期間終了後に評価の納得感に関するアンケートを自動で配信したり、サーベイで異動希望を取得して配属・異動を検討したりできるようにする。配属・異動を判断するための基礎データは、人事評価機能を通じてSmartHRに蓄積されている。
その上で、SmartHRがサポートしたい機能の未来図として、次図を示した。
では、なぜ労務効率化に注力してきたSmartHRが、人材マネジメント領域の機能を拡充しているのか。この点について、SmartHR PMMグループ 重松裕三氏は次のように述べている。
「SmartHRの導入により、人事・労務担当者の業務が3分の1ほどに減りました。ついては、新しいことに取り組みたい――というお客様が大勢いらっしゃったのです。そこで昨年、第1弾として従業員サーベイ機能をリリースしました。これは、お互い顔が見えないリモートワークが広まり、従業員エンゲージメントを気にされるお客様が増えたことを背景に提供したものです。今回リリースした人事評価機能は、人事・労務担当者の方とお話をする中で人事評価にはとても工数がかかっていることが明らかになり、またSmartHR導入でできた時間を活用する新しい取り組みとしても人事評価はマッチすると思ったことから、開発することになりました。
SmartHRは、人材マネジメント領域に進出しようと動いてはいるわけではありません。お客様の課題一つひとつに向き合い解決していくことをモチベーションとしています。そうしてリリースした従業員サーベイ機能や人事評価機能が、ちょうど人材マネジメントという領域で括ることができたというのが実際です。
加えて“エンプロイーファースト”というビジョンが当社にはあり、従業員の皆様にも使いやすくて効率の上がる、うれしいプロダクトを目指しています」(重松氏)