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2025年2月6日(木)13:00-18:00

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インタビュー《リスキリング》| スキルコンバート

デンソーが取り組むハード人材のソフト人材への転進 そのリスキリングを実現する制度と仕組みとは

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 世界トップクラスの自動車部品メーカーとして知られる株式会社デンソー。同社は、電動化や自動運転などモビリティ業界における急速な変化に対応すべく、ソフトウェア人材の育成を推進している。その鍵となるのが、2019年末にスタートした「キャリアイノベーションプログラム」だ。社員の自律性を重視したこの取り組みは、単なるスキル開発の枠を越え、キャリア形成を支援する包括的なプログラムとして産業界から注目を集めている。2024年には「日経リスキリングアワード」で企業・団体総合部門最優秀賞を受賞した。今回は、同プログラムを主導するデンソーのソフトキャリア支援室の2人に、同じく受賞企業であり、ミドルシニア人材に向けコミュニティやビジネスなどの機会を提供する「ライフシフトプラットフォーム」を運営するニューホライズンコレクティブ合同会社 代表の野澤友宏氏がその全貌を聞いた。

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キャリアイノベーションプログラムが社員自律成長を加速

野澤友宏氏(以下、野澤) この度は「日経リスキリングアワード2024」で最優秀賞の受賞、おめでとうございます。その席で御社の取り組みを拝聴して「面白い」と思い、今回お話を伺う機会を頂戴しました。まずは、おふたりの役割についてお聞かせいただけますでしょうか。

広瀬智氏(以下、広瀬) 私は現在、ソフトウェア人材を中心としたキャリア開発支援の仕組みである「キャリアイノベーションプログラム」の構築と現場への展開を統括する立場にあります。2020年7月に「ソフトキャリア支援室」として5人でスタートした組織が、今では30人規模にまで成長しています。

広瀬 智氏

広瀬 智(ひろせ さとし)氏

株式会社デンソー ソフトウェア統括部 ソフトキャリア支援室長

1990年株式会社デンソーに入社後、1991年デンソークリエイト設立とともに出向。ソフトウェア技術者として、ソフトウェア開発のみならず、品質管理、プロセス改善、人事制度改革、採用、健康経営、人材育成など様々な業務を経験し、2020年7月に帰任、ソフトキャリア支援室を立ち上げ現在に至る。

増子敬氏(以下、増子) 私は主に教育関係を担当しています。特に「ハードウェア人材からソフトウェア人材へのリスキリングプログラム」の運営を中心に取り組んでいます。

増子 敬氏

増子 敬(ましこ たかし)氏

株式会社デンソー ソフトウェア統括部 ソフトキャリア支援室 キャリア支援課長

1999年株式会社デンソーに入社。デンソー工業技術短期大学校(現デンソー工業学園)の指導員として若年者教育に従事。2014年からソフトウェア人材育成に関する仕組み・制度の企画部門に異動し、現在はソフトキャリア支援室でキャリア開発支援や教育の構築・推進を担当。

野澤 キャリアイノベーションプログラムの内容について教えていただけますか。

広瀬 キャリアイノベーションプログラムは、大きく5つの柱と人材情報DX基盤から構成されています。

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 まず1つ目の柱が「SOMRIE[1]認定制度」で、スキルの見える化を行います。この制度は17の専門性を定義し、それぞれを1から7段階で評価しています。**社員が自分の現在地を把握し、目指すべき方向性を明確にする仕組みです。

[1]: 「洗練された(Sophisticated)技術の方向性を指し示す(Outline)師匠(Master)として、革新的(Revolutionary)で感銘を与える(Impressive)仕事を情熱的(Enthusiasm)に進める」という意味が込められている。

野澤 認定のプロセスはどのようになっていますか。

広瀬 SOMRIE認定制度では、能力(ケイパビリティ)と役割(ジョブロール)の2つの軸で評価を行っています。

[画像クリックで拡大表示]

 たとえば、「セキュリティエンジニア」という役割を担うためには、「セキュリティスペシャリスト」と「ソフトエンジニア」という2つの能力が求められます。このように役割に必要な能力を明確にすることにより、社員は自身のスキルと目指す役割とのギャップを把握しやすくなります。さらにレベル4以上の認定については、正式なアセスメントによる評価を実施しています。

 2つ目の柱が「リカレントプログラム」です。認定制度で見えてきた能力のギャップを、研修を通じて埋めていきます。これには外部研修や社内研修を活用し、社員が必要なスキルを体系的に習得できるよう支援しています。

 3つ目の柱が「キャリアプランデスク」です。「10年後のあなたを描いてください」と言われても、ほとんどの人はすぐには答えられません。従来は上司を見てキャリアを形成していくことが主流でしたが、技術の多様化が進む中でそれだけでは難しい。そこでSOMRIE認定を受けた専門家などが、キャリアプランの策定を支援します。

 4つ目の柱である「アサインプロセス」では、学んだスキルを実践できる「場」を提供します。

野澤 私たちが運営する「ライフシフトプラットフォーム」でも、スキル習得だけでなく、それを発揮する場として「出番」という言葉を大事にしていますが、学んだことを実践する場があることは非常に重要ですね。

広瀬 おっしゃるとおりです。そのために5つ目の柱として「現場のOJT制度(バディ制度)」を整えています。たとえば、レベル4のSOMRIE認定者がレベル3の社員を指導する形で、実践の場を通じてスキルアップを図ります。これらの活動から得られる情報は、すべて「人材情報DX基盤」に集約されます。経営層は人材の現状把握や課題抽出に、社員は「こんな人材になりたい」と思ったときのロールモデル検索に活用できます。

野澤 すばらしいですね。とはいえ、このような仕組みを運用する中で、課題に直面することもあると思います。どのように克服されてきたのでしょうか。

広瀬 一番の課題は、高負荷な開発と育成を両立させることでした。多くの管理職が「仕組みには賛同するが、今この人材を動かすのは難しい」と考え、スムーズに進まないケースがありました。これを解決するため、トップダウンでの方針を明確化し、2〜3年先を見据えた中長期的な異動計画を立てるようにしました。

野澤 中長期的な視点で計画を立てることで、現場の理解も得やすくなるわけですね。全体を通して、単なるスキル開発ではなく、キャリア全体を支援する包括的なプログラムという印象を受けました。

野澤 友宏氏

野澤 友宏(のざわ ともひろ)氏

ニューホライズンコレクティブ合同会社 代表

1999年株式会社電通入社。コピーライター・CMプランナー・クリエーティブディレクターとして、100社以上の企業を担当。2018年よりHuman Resource Management Directorとして電通の人事施策・後進育成にも広く貢献。2020年末、電通を退社。2021年1月より「ニューホライズンコレクティブ合同会社」の共同代表として、学び(アカデミー)、仲間(コミュニティ)、そしてそれらを生かした新たな出番(ビジネス)を生み出す「LIFE SHIFT PLATFORM」の運営を開始。人生100年時代の新しい働き方・生き方を提案している。

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累計200名の転向を支えるキャリア転進プログラム

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この記事の著者

山田 優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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