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インタビュー《リスキリング》| ミドルシニア

ミドルシニアには無限の可能性——パナソニック コネクト人事が挑む自律的キャリア形成支援

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 社員のキャリア自律が求められる中、ミドルシニアにリスキリングの機会をどう提供し、自律的なキャリア形成をどう支援するか——。本連載では、ニューホライズンコレクティブ合同会社 代表・野澤友宏氏が、実践に取り組む企業を訪ね、「キャリア支援のリアル」に迫ります。今回は、2023年に全社員一斉でジョブ型人事制度へと移行したパナソニック コネクト株式会社。同社の人事総務本部 CONNECTers' Academy CAREER STATIONの渡邊暁氏との対話を通じて、自律的なキャリア形成を文化として根付かせるための工夫や気づきをひも解きます。

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ジョブ型移行後に見えたミドルシニア層の心の壁

野澤友宏氏(以下、野澤) 2023年に御社がジョブ型人事制度に一斉移行されたと伺いました。導入にあたって、どのような課題がありましたか。

渡邊暁氏(以下、渡邊) 大きなテーマの1つとして挙がったのは、50代以上の社員、特にバブル世代を中心とした層に、いかに新たなキャリア観を届けるかという点でした。長年、メンバーシップ型の働き方の中で、会社にキャリアを委ねてきた方々にとって、「これから自分自身でキャリアを描いてください」と急に言われても、戸惑いがあるのは当然です。これまでの積み重ねにも敬意を払いつつ、どう伴走できるかが重要だと感じています。

 ただ他社では、まずは管理職から段階的にジョブ型へ移行する方法を取るケースもありますが、私たちはあえて全社員を一斉に対象としました。変化の必要性を強く感じていたからこそ、全社的に一気に取り組むべきだと判断したんです。

渡邊 暁氏

渡邊 暁(わたなべ さとる)氏

パナソニック コネクト株式会社 人事総務本部 CONNECTers' Academy CAREER STATION マネージャー
国家資格キャリアコンサルタント

1989年の学生時代にリクルートでの社員並みのアルバイトからキャリアをスタート。1990年に生命保険会社に入社。1993年に九州松下電器株式会社(当時)にUターン転職。営業、商品企画、マーケティングに従事。2006年に労働組合専従となり、余暇対策、労働政策、経営対策、事業売却、M&A、人事制度改革などを労働組合側で対応。最大7000人を超える労働組合の中央執行委員長以外に、全労済や労働金庫、生産性本部などの外部役職も経験。2022年に職場復帰。キャリア開発全般の企画運営を行う。2023年に国家資格キャリアコンサルタントを取得。社内キャリア相談室「CAREER STATION」を立ち上げ。従業員のキャリアを支援中。

野澤 そこまでの決断に至った背景には、事業構造の変化も関係していたのでしょうか。

渡邊 はい。パナソニック全体が2022年に事業会社制に移行し、当社も独立した事業会社としての裁量を持つようになりました。その流れの中、自分たちの判断でジョブ型人事制度を導入することにしました。

 その背景には、事業戦略との強い結び付きがあります。当社はBtoBのソリューション事業を担っているのですが、競合はSIerや先進的なITスキルを持つ企業が中心です。そうした市場で勝ち抜くには、より高い専門性やスピード感が求められます。つまり、これまでのメンバーシップ型で育ってきた社員にとっては、環境も求められるスキルも大きく変化しているわけです。

 特に課題となるのがスキルのミスマッチです。若い世代であればリスキリングによって早めの軌道修正も可能ですが、ミドルシニアになると、これまでの経験ややり方の「クセ」がついている。そこにどう向き合うか、どう変化への納得感を持ってもらうかが、私たち人事として最も重いテーマの1つでした。

 さらに、こうしたメッセージを伝える際に気をつけなければならないのは、「リストラなのでは?」と誤解されてしまうことです。私たちが本当に伝えたいのは、「いま一度、自分の持っている価値を見つめ直し、再認識してほしい」ということなんです。

野澤 なるほど。「自分には何もない」と思い込んでいる方も、実はスキルや経験をたくさん持っていることがありますよね。

渡邊 本当にそうなんです。同じ会社で何十年と働いてきた実績は、決して小さなものではありません。しかし、他社と接点を持ったことがないと、自分が社会でどう評価されるかが分からないんですよね。

 たとえば「もう自分には何もできない」と相談に来られた方が、他社にマネージャーとして転職し、年収が1.5倍に上がったという事例もありました。パナソニックの社内で発揮する場がなくても、社外では十分に通用するスキルや知識を持っている方はたくさんいるのです。

野澤 とはいえ、何から始めればいいか分からないという声も多そうですね。

野澤 友宏氏

野澤 友宏(のざわ ともひろ)氏

ニューホライズンコレクティブ合同会社 代表

1999年株式会社電通入社。コピーライター・CMプランナー・クリエーティブディレクターとして、100社以上の企業を担当。2018年よりHuman Resource Management Directorとして電通の人事施策・後進育成にも広く貢献。2020年末、電通を退社。2021年1月より「ニューホライズンコレクティブ合同会社」の共同代表として、学び(アカデミー)、仲間(コミュニティ)、そしてそれらを生かした新たな出番(ビジネス)を生み出す「LIFE SHIFT PLATFORM」の運営を開始。人生100年時代の新しい働き方・生き方を提案している。

渡邊 おっしゃるとおりです。「どのスキルをアップデートすればよいか分からない」「そもそも学び方が分からない」という方が大半です。だからまずは、自分がこれまで培ってきた経験やスキルに目を向けてみること。それだけでも大きな一歩になります。

野澤 “再発見”がキーワードですね。

渡邊 そうです。これは“自律”の前段階である“自覚”のプロセスともいえるかもしれません。さらに私たちが大事にしているのは、創業者・松下幸之助の「人は社会からの預かりもの」という思想です。社員は企業の中だけでなく、広く社会の中で力を発揮してもらうことが、その人自身にとっても、社会にとっても意義のあることだと考えています。

 だからこそ、社員には「60歳で終わり」ではなく、「80歳までの残り20年間をどう生きるのか」を考えてほしいと伝えています。パナソニックという会社の中だけでなく、社会の中で自分の力をどう活かしていくのか。そのためにも、65歳以降の人生をより豊かに描けるよう“選択肢を増やすこと”が重要です。それこそが、ミドルシニア支援の本質ではないかと思っています。

次のページ
「気づき」と「経験」で自分の価値を再発見する

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この記事の著者

山田 優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

伊澤写真館(イザワシャシンカン)

フォトグラファー。

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