あと1年半で連載作品を倍に!第二創業期を迎えるマンガボックス
——マンガボックスさんは、マンガアプリ事業のイメージでしたが、オリジナル作品を制作する電子出版事業がメインなんですね。
村中友也氏(以下、村中) そうですね。2013年のサービスリリース以降DeNA内の一事業として展開している際には、マンガを配信するプラットフォームビジネスが主軸でしたが、現在は出版事業を主軸として2026年度末に100作品の連載を目指して積極的に投資し、全社でヒット作を創出する体制を構築しています。

村中 友也(むらなか ともや)氏
株式会社マンガボックス 経営企画部 副部長
「感情を揺り動かし、日本を扶く(たすく)」というミッションを掲げるマンガボックスの経営企画部 副部長として、採用・育成・労務・制度・AI推進も含むHR領域全般を管掌。
撮影場所:WeWork ジ アーガイル アオヤマ(以下、同様)
前野遼二氏(以下、前野) 採用数や組織の形も、当時とは大きく変わったのではないでしょうか。
村中(マンガボックス) そうなのです。特に編集者がいないとマンガはつくれないので。昔は5名ほどだった編集者が、今では23名に増えました。現在連載しているマンガボックスのオリジナル作品は50作品以上あるのですが、100作品を目指すには、更に今以上の編集体制にしなければならないと考えて、人員計画を組んでいます。
前野(フリー) マンガボックスさんでは、編集者を増やすだけでなく、編集者が編集業務に集中できるよう、それ以外の業務をサポートするパートナーの方々がいらっしゃると伺いました。

前野 遼二(まえの りょうじ)氏
フリー株式会社 SMB事業本部 第4事業部 セールスチーム アカウントマネージャー
マンガボックス社をはじめとする広告・コンテンツ制作業界の顧客を複数社担当。アカウントマネージャーとして、経営課題の解決と業務改善の支援に従事。
ITと出版で文化が異なる中、「ヒット作創出」のための体制とは
村中(マンガボックス) 全社で作品を支える体制を構築していますが、中でも特徴的なのは「事業推進部」ですね。「作家ファースト」を掲げるマンガボックス編集部が、編集に集中できる環境を構築したいという想いからこの体制が生まれました。編集者の仕事は多岐にわたり、出版社によってやり方が全然違います。弊社にはDeNAというメガベンチャーのカルチャーが色濃く残っているのもあり、テクノロジーで効率化を図りながら、オープンかつスピーディな意思決定で物事がどんどん進んでいく。なので、出版社から転職してきた人など、IT企業に近い文化に慣れない人が、入社後の業務に苦労されることがよくありました。
それに、紙媒体メインの出版社と電子出版社では、スケジュールの引き方など、作品をつくる工程が大きく異なります。たとえば紙媒体の場合、週刊誌や月刊誌のように、マンガが公開される日は固定されていますが、電子出版の場合、作品によって毎週・隔週・月一などフレキシブルに変わります。おまけに、戦略によっては、他社の電子媒体で先行配信するようなこともある。そのあたりの意思決定や制作進行管理が、かなり複雑になるのです。
そこで、そうしたスケジュール管理や、契約書や発注・支払い周りの調整といった、作品づくり以外の周辺業務は、freeeのプロダクトもうまく使いながら事業推進部のメンバーが巻き取って、作品づくりに集中してもらえるようにしています。
——なるほど。本来の仕事に集中できる環境づくりという視点にも、IT企業のカルチャーを感じます。
村中(マンガボックス) 当社では、作家以外にも40名を超える外部パートナーがいて、多様な人材に活躍いただいているのもその1つかもしれません。編集部にも一部いますし、先ほどお話しした事業推進部にもいます。あとはアプリ開発のエンジニアや、広告宣伝周りのアドバイザー、HR周りを支援いただいている方などにも、業務委託として参画いただいています。