フリーランス新法がもたらした意識変革
——フリーさんにお聞きします。フリーランス新法に慌てず対応できたマンガボックスさんのような企業よりも、そうでない企業のほうが多いのではないでしょうか。
前野(フリー) フリーランス新法にて、「実務として最低限何をすべきか」というご相談は非常に多く寄せられました。とはいえ、他社の動きを見てから考えるという企業も一定数ありましたし、「うちの業界は長年こんな商慣習でやってきたんだから、今までどおりでいいんだよ」という姿勢の企業も少なくなかったのが実情です。
ですが、2025年6月に、フリーランス新法の施行後初となる、大手出版社2社に対して公正取引委員会から勧告処分が行われました。そのため、これを機に、あらためて危機感をお持ちになる企業が増えるのではないかと見ています。
村中(マンガボックス) この業界は作家も含めて業務委託の方が非常に多いですし、今後は業界問わずフリーランスがさらに増えてくると思っているので、この辺でちゃんとメリハリをつけておくことは大事ですよね。
マンガボックスでも、ハラスメント対応や産休・育休などの配慮義務など、規定の変更等の必要な対応はしていますが、まだまだ出来ることはあると思っています。なので、freeeのようなツールがあれば、作業負担はそれほど増えませんし、効率化できた分、これらの検討に時間をあてられるので、非常にありがたいです。
前野(フリー) マンガボックスさんでは、村中さんのサポートをされているパートナーがfreee業務委託管理を使っていたり、給与計算はfreee人事労務で社労士に任せていたりするなど、freeeのプロダクト上でも外部の専門性をうまく取り入れながら、クラウドを有効活用されていますよね。
freeeの良さは、どの領域から始めても、最終的にはひとつのプラットフォーム上でデータをつなげられる点にあります。一気にすべてを変えようとすると負担が大きくなりますが、まずは勤怠管理だけといったように、取り組みやすいところからスモールスタートしていただき、ゆくゆくはマンガボックスさんのようにfreeeを「統合型経営プラットフォーム」としてご活用いただけるとうれしいですね。
システムと人の役割分担で、健全な環境をつくる
——では最後に、企業と外部パートナーとの理想的なつながりを模索されているマンガボックスさんと、それをシステムで支えているフリーさんから、読者のみなさんにメッセージをお願いします。
村中(マンガボックス) 世の中に愛される作品をつくるには、クリエイターがクリエイティブに専念できる質の高い環境構築が必要不可欠であると感じています。そのためのDXであり、AI活用であると考えております。
また、働き方や雇用のあり方がますます多様化していく中で、HRとして正社員だけでなくさまざまな雇用形態の人材を見ていく必要性が高まると考えています。
その際、コンプライアンスを意識しながら良い関係を築くために、システム化すべきところはシステム化して、人と人でつながる感情的なところはしっかりと向き合う。この使い分けが重要です。フリーランス新法をひとつの転機として、より健全で開かれた環境を皆さんとつくっていけたらと思います。
前野(フリー) これまでもこれからも、freeeがアプリ・コンテンツ制作業界を裏方として支えていきたいという想いは変わりません。そのうえで、今後はさらにAIを活用して進化を遂げます。
たとえば、これまで外部のBIツールなどで行っていたデータ分析やデータ活用を、freee内でもできるようにしていこうと、鋭意開発中です。これにより、freeeに蓄積されたデータを人的資本開示などにもお役立ていただきやすくなると思いますので、どうぞご期待ください。
