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人事労務事件簿 | #62

労働時間の管理不備で、労働者の主張どおりの始業・終業時刻と判断(大阪地裁 令和5年6月21日)

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 時間外労働・深夜労働には割増賃金が発生します。当然ですが、その支払いのためには、労働時間の記録・管理を正しく行っていなければなりません。今回の事案は、その労働時間の記録・管理に不備があり、時間外労働・深夜労働に対する割増賃金が行われなかったために訴訟に至ったものです。具体的には、どのような問題があったのでしょうか。

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1. 事件の概要

 本件は、原告ら(以下「Xら」)が、被告(以下「Y社」)との間で、それぞれ期間の定めのない雇用契約(以下「本件各雇用契約」)を締結して稼働していた中で、時間外労働・深夜労働により割増賃金が発生したにもかかわらず、Y社においてこれを支払わない旨を主張されたため、Y社に対し、本件各雇用契約に基づき、各未払割増賃金等の支払いを求めた事案です。

 今回は争点の中から、労働時間管理と割増賃金について取り上げます。

(1)当事者等

 Y社は、農林水産物の売買を目的とする株式会社で、北九州市にある北九州市B卸売市場内で青果物を取り扱う卸業者として活動していました。

 Y社は、令和3年3月31日付けで解散しましたが、未だ清算未了の財産があり、清算手続中です。

 Xらは、Y社との間で、それぞれ期間の定めのない本件各雇用契約を締結し、本件請求に係る期間(平成31年1月1日から令和3年3月31日まで)、Y社での業務に従事しました。Z組合は、Xらが組合員として所属している労働組合です。

 Xらの業務は、主として、青果市場内でのセリに関係した業務とセリにより仕入れた商品の販売先への配達業務でした。セリに関係した業務は、担当する品目の商品の仕入れ、販売および在庫の管理で、セリの資格を有する従業員(以下「セリ人」)が中心となっていましたが、その他の従業員もセリ人のサポート業務をしていました。

(2)労働時間管理

 Xらの主張では、Y社は労働時間の管理を一切しておらず、 もともとはタイムカードで管理をしていたのを止めて、 自ら労働時間管理を放棄していました。

 一方、Y社の主張によると、全体の業務として時間が決まっているのは、 毎日セリが午前7時に開始されるということだけであり、出社してセリが始まるまで、セリが終わってから退社するまで、その間の時間は自分の担当業務をこなしさえすれば、どのペースで業務を進めようが、どのタイミングで休憩を取ろうが、従業員の判断に委ねていました。

(3)本件各雇用契約の内容等

①賃金支払日
毎月末日締めの翌月5日払いです。
②就業規則
昭和55年8月27日付の「時間外労働休日労働に関する協定届」とともに保管されていた、「就業規則」と題する手書きの書面が存在します。

(4)Z組合の関与等

 令和3年2月21日、XらはZ組合に加入しました。

 Z組合は、同月23日、Y社に対して、組合加入通知書、組合役員指名通知書、要求書、団体交渉申入書を提出し、その際、就業規則、退職金規定、賃金規定を明示するよう求めました。

 Y社は所在不明と主張し、団体交渉の日時は後日回答するとしました。

 Y社は、令和3年2月末に、Xらに対し、同年3月31日付の解雇通知書を郵送しましたが、他方で、団体交渉の日程を回答しませんでした。

 Z組合は、令和3年3月12日、Y社に対して団体交渉を申し入れました。

(5)XらからY社に対する未払割増賃金の支払催告

 Xらから、Y社に対し、令和3年3月5日支払分までの未払割増賃金の支払いを催告する書面(以下「本件各支払催告書」)が同月17日に送付され、本件各支払催告書は同月18日ごろ、Y社に到達しました。

(6)Y社による退職金の支払状況

 Xらは、令和3年3月31日付で、全員解雇となりました。

 退職時に、退職金として、X2については288万円、X3については428万円がそれぞれ支払われました。

次のページ
2. 裁判所の判断

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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