英国規格協会(The British Standards Institution。以下、BSI)は、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(以下、DEI)を尊重する職場文化形成のためのガイドライン「PAS 1948」を発表した。
多様性のある組織は同業他社よりも多くの人材を獲得し、業績を向上させるほか、Z世代に好まれる傾向があるという。また、経済産業省の報告書では、統計的に女性取締役のいる企業は、いない企業に比べ、株式パフォーマンスが良く、リーマンショックなどの厳しい環境変化に対しても強く、回復が早い傾向が示されている。
今回BSIが発表したPAS 1948は、国や業界を問わず、各組織に適したDEIフレームワークの実装を支援することを目的としており、無償で入手できる。「思考の多様性」「多様性の側面」「異文化間能力」「認知的多様性」などの概念の理解と実践を含むほか、「インクルーシブデザインの原則」をサービス、テクノロジー、ビジネスモデル、プロセスに組み込むとともに、人材の採用や定着のためのDEIなど、具体的な対策についても言及。さらに、DEIの原則に反する行動への対処法や、社会的・文化的なマイノリティグループと関わり、支援する方法についても取り上げている。
その他の注力分野は以下のとおり。
- 適切なDEIの学習・育成ニーズを特定する
- 包括的なブランド、顧客エンゲージメント、職場文化を醸成する
- DEIの原則を社内の方針、慣行、プロセスに組み込む
- 効果的なDEI文化を創造し維持することの組織的メリットを確立する
- 達成可能な目標を設定し、進捗状況を測定する
なお、PAS 1948はISO 30415:2021「人的資源管理 - 多様性と包括性」、BS 76000:2015「人的資源 - 人々を評価する - マネジメントシステム 要件とガイダンス」、ISO 45003「職場における精神的な安全衛生」などのフレームワークの実践的なガイドラインとして使用できるという。
【関連記事】
・「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン方針」を発表—花王
・LGBT求人サイトをダイバーシティ求人サイト「ジョブレインボー」へリニューアル―JobRainbow
・7割の企業がダイバーシティ&インクルージョンを重視、一方で6割が推進に課題―JobRainbow調べ