リクルートは、日本の労働市場の課題を明らかにするため、リクルート・Indeed「グローバル転職実態調査2023」のデータを用いて、日本の労働市場で多くの割合を占める40歳〜59歳の「キャリアについて考える機会」の調査結果を発表した。なお、同調査では40歳〜59歳をミドル世代と定義する。
日本の労働力人口のうち、ミドル世代は約4割
日本の労働力人口のうち、40歳〜59歳は44.2%であり、少子化が進む日本では、今後この割合は上昇していくと考えられる。
同社が提供する「リクルートエージェント」では、ミドル世代の転職が増えているという。50代の転職者数は、2014年度比で約9倍になっている。転職者数の伸びが示すように、実際に転職する人もいれば、キャリアについての悩みや不安はあるが動けていない人が一定数いると同社は述べている。
将来のキャリアについて、日本のミドル世代の半数が「取り組んでいない」
将来のキャリアに対して取り組んでいることを聞いた結果、全体的に日米で差が大きい結果となった。特に、次に示すグラフの通り、日本のミドル世代は47.1%の人が取り組んでいることがない一方で、アメリカのミドル世代では8.5%となっており、差は38.6ポイントと大きく開いている。
具体的な取り組みで差が大きかったものは、「キャリアプランの明確化と目標設定」(日本12.0%、アメリカ44.2%:32.2ポイント差)、「ネットワークを広げてつながりを築く」(日本14.1%、アメリカ39.9%:25.8ポイント差)といった項目だ。
キャリアについて考える機会、日米で大きな差が出る
キャリアデザインに関する教育・研修などを受講したことがあるかという質問に対しても、日米で大きな差が出る結果となった。アメリカでは、学生・社会人のいずれでも、キャリアデザインに関する教育・研修を受講したことがある人が多かった。一方、日本では受講したことがない人が多い結果に。
特にミドルでは、キャリアデザインに関する教育・研修などを「学生時代に受講したことがない」という割合は日本で80.0%、アメリカでは38.1%で、差は41.9ptであった。終身雇用や年功序列といった、日本型雇用慣行が見直されている中で、ミドルが「キャリアについて考える機会」にいかに触れられるかが重要になると同社は述べている。
日本では、キャリアのアドバイスをもらえる機会が少ない
勤務先の上司は、仕事やキャリアのアドバイスをしてくれるかと聞いたところ、日本では「仕事がうまくいくよう助言や支援をしてくれる」の割合がアメリカよりも高かったが、それ以外の項目ではアメリカの方が高い結果となった。日本のミドルでは、「仕事やキャリアのアドバイスはもらわない」の割合が29.3%となり、日本の20歳〜39歳と比べても高い結果になった。
キャリア自律できているミドルは、将来にも前向き
ミドルのキャリア自律できている人では、「現在までの自身の職業キャリアに満足している」割合は61.0%となり、20歳〜39歳や、同じミドルでキャリア自律できていない人よりも高い結果となった。その他、「会社では自分のスキルと才能が尊重され、活かされている」「環境変化が起きても、これからの人生やキャリアを前向きに切り開いていける」も高い結果となっている。
また、キャリア自律できている方が、仕事やキャリアにとどまらず人間関係などに前向きな傾向があった。
なお、同調査の概要は次のとおり。
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調査対象
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フルタイム勤務者で直近に転職を経験している人
- 週労働時間:35時間以上
- これまでに勤めた企業数:2社以上
- 現在の会社の勤務年数:2年未満
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フルタイム勤務者で直近に転職を経験している人
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有効回答者数
- アメリカ:1248
- 日本:1248
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調査期間
- アメリカ:2023年10月20日~11月2日
- 日本:2023年10月10日~10月25日
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