3.要点解説
(1)始業前の労働時間性について
労働基準法上の労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたかで客観的に判断されます。
本件では、9時オープン・8時45分出勤という運用がなされていました。その一方で、顧客都合で8時45分前の予約対応が恒常的に行われ、そのことは予約表で代表者も把握していました。
また、代表者自身も同時間帯に同一スペースで指導していた事情などから、裁判所はオープン前対応も指揮命令下の就労であると評価し、労働時間に該当すると判断しました。
さらに、始業時刻の認定では「打刻時刻=直ちに実作業開始」とはせず、打刻から実作業開始までの合理的な幅を踏まえて、始業時刻を認定しました。
(2)休日振替について
休日の振替については、一般に事前に振替休日を特定して指定し、当該休日を労働日にする旨を通知することが必要とされています。
これについては次の行政通達があります。
<労働基準法第35条(休日)の原則に照らした、休日の振替と代休についての解釈>
(問)
就業規則に、休日の振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって所定の休日と所定の労働日とを振り替えることができるか。
(答)
- 一就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならない。
- 二前記一によることなく休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれに当たらないこと。
(昭和23年4月19日 基収1397号)(昭和63年3月14日 基発150号)
しかし、本件のシフト表は「公休」等の記載にとどまり、振替休日としての指定が読み取れませんでした。
このため、振替元・振替先が特定されているとはみなされず、休日の振替は認められないと判断されました。

