3. 要点解説
(1)解雇について
解雇は、就業規則に解雇事由の定めがあるだけで直ちに有効となるものではありません。客観的合理的理由があり、かつ社会通念上相当といえることが必要です。
労働契約法第16条では、次のとおり規定しています。
(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
(2)今回のケース
今回は、Xについて、次のとおりさまざまな問題となる言動がありました。
- 小型包丁を手に持っての悪質な冗談
- 交通費精算で数円多く請求
- Dに対する敵対的な対応
- 顧客からのクレーム
- 社内への不要な一斉送信メール
- 就業時間中のパソコンの私的利用
裁判所は、不適切な言動があったこと自体は認めましたが、Y社から注意指導を受けたにもかかわらず、Xが同様の言動を繰り返した事実を認めるに足りる証拠はないとしました。
Xについて改善の余地がなかったとはいえず、Xが降給降格処分を受けた後も、新たな非違行為やトラブルを生じさせたことも認められないとしました。
こうしたことから、裁判所は、労働契約法第16条にいう「客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」にあたり解雇無効であると判断しました。

