海外の就活と比べて、ここが変な日本の就活
海外採用を始めたときの学生の集め方
――学生への採用プロモーションは、大学のキャリアセンターに飛び込んで「学生を紹介してください」とお願いするような感じですか?
基本はケースバイケースです。欧米の場合、キャリアセンター主催のキャリアフェアに参加するよう案内されたり、自社説明会をやりたいと言うと会場を貸してくれたりと、いろいろです。
あと、海外の場合、大学のキャリアセンターがかなりしっかりしてるという印象があります。中でも、インドや中国では、かなりの時間をかけて、大学とのコネクションを築く必要があります。ですので極力、現地に詳しいエージェントさんにお願いするようにしています。
とはいえ、事前のメールではスムーズに進んでるように見えても、いざ現地にいってみると会場すら予約されてなかった、ということも何度かありました。僕たちもわかっていないことが多いので、信頼できるベンダーさんやエージェントさんを選ぶということは非常に重要だと思います。
――うわー、ツラい……。ちなみに、ベンダーやエージェントはどのように選定されているのですか?
とにかく、いろいろ試してみるしかありませんね。今では依頼するベンダーさんやエージェントさんはある程度決まっていますが、そこに至るまでにたくさん失敗してきました(笑)。会社単位ではなく、担当レベルでも差があります。
日本の就活は特殊
――現地のベンダーならではの採用サービスなどありましたか?
先程もありましたが、結局、アメリカがどう、シンガポールがどう、ではなく海外の就活は大学のキャリアセンターが中心なんです。その意味では、日本が特殊なんです。就活の仕組みもそうですし、時期もそうです。
――ということは、海外の学生たちは応募する会社の数を絞って、就職活動をしているのでしょうか?
数という点では圧倒的に違います。それは、終身雇用ではない、ということも背景としてあります。「2~3年ごとにキャリアアップ」「合わなかったら、次」という意識があるように感じます。
――なるほど、ジョブホップすることが前提ということですね。
Rakuten Way~新卒エンジニアの「通年採用」
入社時期だけではなく職種・給与も変わる
――個々のスキルによって給与も変わるんですか?
はい、楽天ではエンジニア職種だけですが、個々のスキルによって給与が変わります。エンジニアの一括採用を止めて通年採用に切り替えた時点[1]で、そういった方針になりました。通年採用にするということが、よく理解されてないケースもあるんですが……ちなみに、どういった内容かご存知ですか?
――決められた時に一斉に入社することを止める、ということですよね。
それもありますが、他に切り替わった点として「ポジション別採用」があります。一括採用では、入社後に、研修期間を経て配属が決まっていくのですが、入社前に配属先をあらかじめ決めて採用するというものです。
整理すると、エンジニア採用が通年採用になって変わった点は3つあります。
- 入社時期はいつでも
- ポジションを選択して応募
- 給与は一人ひとりのスキルに応じて変動
――ということは選考基準も部署別に変わる、ということですね?
そうです。それも含めて、部署の開発担当役員がオファーを出しています。
――なるほど! となると、どういった経緯でそうなったのでしょうか?
2014年にエンジニア職種の採用比率の87%が外国籍になったころに、今までの一括採用では受け入れが困難になってきました。例えば、ある海外新卒エンジニアが卒業後、1年近く待ってから入社するというケースがありました。 また、入社後に就くポジションが不透明であることが理由で、採用で競り負けるということも発生してきました。それで一括採用を止めて、通年採用に切り替えました。
注
[1]: 【参考】Rakuten新卒採用「通年採用および職種別採用を導入」