初回通信時のスイッチ
それではさっそく、1問考えてみましょう。
問題1
図のようにスイッチとPCを接続し、初回の通信をPC AとPC Bが行います。 次の空欄に入る語句の組み合わせを選択してください。
スイッチはフレームヘッダ情報である(A)アドレスを確認し、(B)より転送する。
- 1. (A)IP (B)Fa0/2
- 2. (A)IP (B)Fa0/1以外の全てのポート
- 3. (A)MAC (B)Fa0/1以外の全てのポート
- 4. (A)MAC (B)端末の接続されている全てのポート
問題1の解説
基本事項
スイッチはMACアドレスを確認して任意のポートへとデータを転送していきます。これにより、特定の端末にのみ通信を行うことが可能になるわけです。
この仕組みを支えているのが、スイッチが持つ「MACアドレステーブル」です。MACアドレステーブルは、スイッチ自身のポートとそのポートに接続された機器のMACアドレスとを対応付けたもので、このテーブルのエントリーと、送られてきたデータのレイヤ2ヘッダ情報(MACアドレス)とを比較して、紐づいているポートよりデータを転送していきます。
問題のキーポイント
問題文でチェックすべきポイントは「初回の通信」という語句です。初回の通信の際は、スイッチのMACアドレステーブルはエントリーが何もない状態です。この場合、スイッチはどのように動作するのでしょうか?
スイッチはMACアドレステーブルに送られてきた通信の情報がない場合、受け取ったポート以外の全てのポートから通信を転送します。このスイッチの動作のことを「フラッディング」といいます。宛先の情報がわからないので、とりあえず全員にデータを転送し、受け取った端末に判断を委ねるのです。それと同時に、送信元の情報をMACアドレステーブルに登録します。
複数の端末がブロードキャスト通信を受け取ることになりますが、レイヤ3ヘッダ情報(IPアドレス)を確認して一致した端末が返信を行います。
返ってきた通信はスイッチを通りますので、スイッチのMACアドレステーブルにエントリーが付け加えられます。
以上の観点より、正解は「3」となります。
初回通信時のお話が出てきましたので、次は、ネットワーク機器が通信を行うために必須となるARPについて解説しましょう。