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「IT人材ラボ Day 2018 Summer」セッションレポート | #3

開発現場のタレントマネジメントはメンバーとの信頼の上で成り立つもの、それをいかにして築いているか――サイバーエージェント 西部裕介氏

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 サイバーエージェントの「アドテクスタジオ」では、5年前の設立以来、エンジニアが一人ひとり成長していける環境を求めて、タレントマネジメントに取り組んできた。しかし、その道のりは“泥臭く失敗と改善の繰り返し”だったという。本稿では、この取り組みの成果と、そこから得られた現場マネージャーの持つべきマインドセット、実践すべきことがらについて紹介した、同社の西部裕介氏による講演「現場でのエンジニアタレントマネジメント 信頼関係構築への道のり」(IT人材ラボ Day 2018 Summer)の模様をレポートする。

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「もっと何かできるはず」というもどかしさ

 西部氏が所属している「アドテクスタジオ」は、サイバーエージェントの中でネット広告配信システムを担う部署だ。現在20チーム・300名が在籍しており、うち200名がエンジニアだという。西部氏はその中の、スマホに動画広告を配信する「LODEO」というプロダクトの開発責任者として、エンジニアのタレントマネジメントに取り組んできた。LODEOチームにはビジネスメンバー4名、フロントエンジニア4名、サーバーサイドエンジニア4名が所属している。

 講演当時アドテクスタジオでは、クリエイティブスペースやカフェ、図書館の設置や端末、備品の補充・追加など、オフィス環境や開発環境へのさまざまな改善施策を遂行。それと並行して、ゼミや開発合宿支援、海外カンファレンスへの参加など、余念なくエンジニアの「働きやすく、学びやすい」環境作りに邁進していた。だが、アドテクスタジオが設立された当初は、職種を横断して「良いプロダクトを作る」ための組織の体制にはまだまだ遠く、改善の余地があったと西部氏は明かす。

 「設立当初、エンジニアは周りのメンバーと信頼関係を築けないでいました。特に、ビジネスのメンバーとはお互いを理解できていなかった。当然、協調してプロダクトを作り上げるという文化にもなっておらず、『自分の出した意見はどうなったんだろう』とか『もっと何かできるはず』とか、いろんなモヤモヤが個々のエンジニアにたまっていたと思います。エンジニアとして成長している実感を得られなかったり、孤立感にさいなまれたりするケースもありました。」(西部氏)

西部 裕介氏
西部 裕介(にしぶ・ゆうすけ)氏
株式会社サイバーエージェント アドテク本部 LODEO 開発責任者。
パッケージベンダーを経て、2014年 株式会社サイバーエージェント入社。入社以来一貫してアドテクノロジー分野のサービス開発に従事。スマホ向け動画広告配信ネットワーク LODEOの開発責任者としてエンジニアマネジメントを実践しつつ、社内ゼミ制度を活用し「エンジニアリング・マネジメントゼミ」にて主にピープルマネジメントの研究を行っている。

 良い信頼関係ができていないと事業にも影響が出る。ビジネスサイドとの意思疎通がなければ、エンジニアとしては「開発を進めることでどんなビジネスインパクトがあるのか」と疑問を持ったり、「このままでは仕事に集中できないし、自分の成長も望めないのではないか」と焦ったりする。それが結果的に、プロダクトや運用の品質に影響を及ぼすという悪循環を招いていた。

社内のマインドチェンジが改善の原動力に

 転機はまず外部から訪れた。人材市場の大きな変化の波である。この4~5年、業界内で優秀なエンジニアの勧誘合戦が激しさを増してきている。世の中の少子高齢化によるエンジニア不足は、アドテクスタジオとて例外ではない。腕のいいエンジニアをそろえなければ良いプロダクトは望めず、それには技術者が納得感を持って働けている環境を作る必要があった。

 同時に、社内にもあちこちで変化が生まれてきていた。具体的には3つ。「異なる職種メンバーに対する意識の変化」「エンジニアの改善サイクル」、そして「サイバーエージェントの文化とエンジニアリングの融合」だ。

 「ビジネスもエンジニアもお互いを理解する。その職種を越えた理解が、プロダクト作りを本質的に変えました。ビジネス側は、一方的に開発を依頼するのをやめるのはもちろん、事業成功のために大切な開発であることを十分説明したり、マーケットでどう勝っていくのかをエンジニアを含めて議論する場を設けたりしました。一方、エンジニア側も、開発プロセスをうまく回すために何ができるかを自主的に模索するようになり、アジャイル開発を勉強して取り入れるなど、開発体制や組織を工夫しようという機運が高まってきたと思います」(西部氏)

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 こうしたビジネスとエンジニア側の歩み寄りを支えたのが、変化の3つ目である「サイバーエージェントの文化とエンジニアリングの融合」だ。同社にはもともと「個人のエゴを排して、より高い視線でものを見る」「オープンマインドで接する」「年功序列をなくす」といった自由で前向きな気風が備わっている。これらがビジネスや開発、関係の上下といった垣根を越えて、アドテクスタジオにおける風土改善を支えたのは想像に難くない。

 西部氏は「これら3つの変化が同時に起こったからこそ、改善が進んだと思っています。また現場からのボトムアップの努力も大きかった。自分としては、とにかく泥臭い工夫の繰り返しでしたが、根気よく全員が気持ちをそろえて取り組んでくれたことが成果につながったと考えています」と振り返る。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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