著者のKei氏が運営するサイト「転職の神」もあわせてご覧ください
エンジニア採用が難しい理由
採用担当者にとってエンジニアの採用が難しい理由はいくつかある。エンジニア人口が絶対的に足りていないというのはもちろんだが、採用担当者にエンジニアの知り合いがおらず、エンジニアの性格や能力をまったく理解できていないというケースも多い。
また、採用担当者もしくはリクルーターと呼ばれる職種は女性の比率が高い一方、エンジニアは女性の比率が低い職種であるため、なかなか接点がないのもうなずける。エンジニアという職業以上に、エンジニアという職種に就いている人への理解が薄いと言われると、心当たりある人も少なくないだろう。
もう、「エンジニアはメガネをかけていてオタクな人」というようなステレオタイプな価値観で接する人はいないだろうが、エンジニアという人々の理解を進めていくことは採用にとって重要になってくる。
エンジニアを過保護に扱いすぎるな
エンジニアに接するときに、やたら下手(したて)に出ようとする人事がいる。これは結果として正しくない場合が多い。とある有名ベンチャーの人事に、営業職の採用では高圧的な対応を取る一方、エンジニアに対しては過度に下手に出る人がいた。当然の結果といえるが、一部のエンジニアからは「あの人は人によって態度を変える人」というレッテルを貼られ、距離を置かれてしまった。
敬意は持ちつつも、エンジニアとも普通のビジネス人と同じように接することは意外と重要だ。人手不足だから、エンジニアにしてみれば企業はより取り見取りであるのは事実だが、採用担当者は対等な目線で会話をすることが入社後も含めてプラスになる。
子育てと同じで、過保護に扱っても良いことはない。
最後は熱意で動く
私自身もスーパーエンジニアと呼ばれる人に「なぜこの会社に入ったのか」という質問を度々してきた。すると、「環境が良かったから」選んだという人はほとんどいなかった。一方、多かったのは「エンジニアが全くいないのに代表の熱意がすごかった」「コードはぐちゃぐちゃでエンジニアは外注しかいない状況だったので、自分でなんとかしようと思った」といった、自発的に動きたくなるような状況だったために入社したという人だ。これには驚かされた。
待遇や環境も重要ではあるが、優秀であればあるほど、「自分がなんとかしたい」「自分ならなんとかできる」、もしくは「ビジネスに対する熱意を感じた」など、既存の環境ではないところに惹かれることがあるのだ。このことは覚えておいてほしい。
エンジニアが入社を迷っている場合のコミュニケーションの取り方
昨今のエンジニアは複数の内定を持っていることが多い。例えば、Twitterでエンジニアが転職活動をすると、有名企業の社長からDM(ダイレクトメール)が来ることも珍しいことではない。
このような状況だと、口説くフェーズが重要になってくる。似たような規模、待遇の会社とバッティングしたときに、何とかして入ってもらうようコミュニケーションを取る必要がある。
そのときに、採用担当者であるあなた1人が一生懸命でがんばったところで限界がある。その際は、受け入れ予定のエンジニアチームや幹部を巻き込んで、しっかりと迎え入れたいという気持ちを、転職しようか迷っているエンジニアに伝えよう。
結局、最後は人と人とのコミュニケーションが結果を左右する。残念ながら、エンジニアの採用は採用担当者だけでは限界があることを理解して、周りの協力を仰ごう。営業などの採用と同列に考えないことが重要だ。