さんぽうは、2021年3月高校新卒予定者の就職動向に関して、昨年採用実績のある企業を対象に、高校新卒採用に関するアンケート調査を実施した。主な調査内容は、各業界の採用動向やオンラインでの説明会や面接の実施状況、選考開始日の変更による影響などについて。調査期間は2020年6月15日~6月27日で、回答数は117社。
新型コロナウイルス感染症の影響で全国の高等学校で臨時休業期間があったために、例年通りのスケジュールでは就職準備期間が短くなり、生徒は不十分な準備のまま就職活動に臨むことになる。そのため、6月11日に厚生労働省により、来年3月の高校卒業予定者の採用選考期日が1か月後ろへ変更されている[1]。生徒の希望・適性にあった就職を実現し、ミスマッチによる早期離職を防止することが目的だ。
選考スケジュールが1か月後ろ倒しされることによる採用への影響について、「影響がある」と回答した企業はわずか8.5%で、「影響はない」が52.1%だった。しかし、「どちらとも言えない」も4割近くを占めている。10月以降になると大卒の内定式や研修が重なってくるなど様々な事情もあり、現時点では先が読めないと感じている企業が多い様子だ。
職場見学を「実施する」とした企業は85%以上。ただし、職場見学の実施にあたり「Webで実施予定」と回答した企業はほぼなく、「当初の日程以外でも高校の要望に合わせて見学日を設定する」などの記述回答に見られるように、企業側としてもゆくゆくは何とかリアルの職場見学をしっかりと行ってもらい、ミスマッチを防ぎたいという強い思いがある。
オンラインでの採用活動については「対大卒で実施している」とした企業が29%あるにもかかわらず、高卒採用では「実施予定」がわずか12.4%。「実施予定」とした企業の中でも、面接においてオンラインを用いるとした企業は30%に留まっている。「大卒では使用しているが、高卒は使用しない予定」と明記する企業もあり、大卒採用と比べて明らかに対面重視の傾向がより強いことがうかがえる結果となった。「高校進路指導部へ望むこと」の質問においても、「生徒へ直接説明をする機会」を望むとする回答が群を抜いて多く、次いで「高校訪問の許可」、「職場見学の告知をする機会」となっており、それを裏付けている。
注
[1]: 学校から企業への生徒の応募書類提出開始日の変更…9月5日→10月5日(沖縄県は8月30日→9月30日)。企業による選考開始及び採用内定開始日の変更…9月16日→10月16日。