Works Human Intelligenceは、同社の統合人事システム「COMPANY」のユーザー247法人265名を対象に、給与デジタル払いに関するアンケート調査を実施し、結果を発表した。調査期間は2021年2月15日~3月5日。
給与のデジタル払いが解禁になった場合、利用を検討するかを聞くと、給与デジタル払いを検討(予定含む)の法人は26.3%という結果だった(「検討しているが利用は未定」「検討していないが、これから検討予定」の合計)。一方、「検討していないし利用の予定もない」法人は72.9%と、大多数を占めた。「既に検討していて利用予定」「検討しているが利用しない予定」と回答したのは、247法人中それぞれ1法人のみだった。
想定される利用の目的については、「銀行振込手数料の削減」が55.2%で最も多く、次いで「従業員への便益」が47.8%、「イシュアー(デジタル通貨発行元)からのポイント付与による従業員への還元」が22.4%という結果になった。その他の回答として、銀行口座を持たない外国籍社員への支払いが便利になるという声も挙がった。
デジタル払いの想定対象者は「希望者」が61.3%で最も多く、「全従業員」はその半数以下の27.4%だった。「その他」回答には、「アルバイトのみ」「国内口座を持たない外国籍社員」など、利用対象を絞るという声も見受けられた。
デジタルで受け取った給与の現金化にかかる手数料については、61.1%が「従業員がすべて負担する」を選択した。デジタル払いを実施する最も多い目的が「振込手数料削減」であることを踏まえると、新たなコストをかけることに対しては消極的な結果になったと推測される。
給与デジタル払い実施の障壁は、「システムインフラの投資コスト」が63.2%と最も回答が多く、次いで60.0%で「担当者の対応工数」が続いた。このことから、「システム的・人的コストに見合うメリットがあるか」が実施検討の論点になると想定される。また、デジタルマネーの利用に対し、セキュリティや業者破綻時の補償について懸念の声が挙がっている。
その他、給与デジタル払いに関する意見・期待・懸念について聞くと、「具体的なルールや運用方法を知りたい」「今後の状況を見ながら検討したい」といった意見があった。また、振込手続効率化への期待があった一方で、「銀行口座振込対象者とデジタル払い対象者が混在することにより逆に対応工数が増えるのでは」という懸念も挙がった。
今回の調査を踏まえると、特に企業側は給与のデジタル払いにおいて、メリットに比べてデメリットやリスクが現状では大きいように感じられる。一方で、今後日本社会のデジタル化の波は避けて通ることができない状況であり、さまざまな手続きの変化が進むことも予想される。給与のデジタル払いについても、各種情報を注視しつつ、まずは今後について一考することが肝要だと、Works Human Intelligenceは述べている。