人生初めてのエンジニア面接に関してのエピソードは前回をお読みください。なお、登場人物などの名称は仮称です。
人生初のエンジニア面接が無事に内定承諾となり、私は最高のやりがいを感じていました。
「そうだ! きっと谷川さん(内定承諾したエンジニア)の他にも、エントリーしてきてくれているかもしれない。早くFind Job!(現FINDJOB!)を開いて確認しなくちゃ!」
ウキウキしながらFind Job!の管理画面を開くと、本日のエントリーはありませんでした。少しだけ不安な気持ちがよぎったものの、内定承諾をいただいた喜びのほうが強く、その日はそのままうれしい気持ちを胸に抱えて帰宅することにしました。
帰宅する電車の中で、熊田さんからFacebookメッセンジャーが届きました。
「宇田川さん、今日は初内定おめでとう! エンジニア採用は初めてなのに、あんなに高いスペックのエンジニアを採用できたのは本当にスゴい! 神山さんはめちゃくちゃ喜んでいたし、他のエンジニアたちも一緒に働くのが楽しみだって言ってたよ。それから、明日、業務終了後に谷川さんが使う予定のMacのセットアップ教えるから、一発でマスターして~」
熊田さんのメッセージが私を笑顔にしてくれました。最後の“Macのセットアップ”という言葉に苦手意識を感じましたが、熊田さんの指導があればきっとできる気がしました。
翌日の業務終了後、私はMacのセットアップを教えてもらうために、エンジニアフロアにある熊田さんの席に向かいました。
「熊田さん、大変お待たせいたしました。Mac初心者の宇田川でございますが、しっかりとメモを取らせていただき、勉強させていただきますので、何卒ご指導よろしくお願くいたします!」
そう私が勢いよく伝えると、熊田さんと周辺のエンジニアさんたちが大笑いしました。それから、笑顔で熊田さんがこう答えました。
「大丈夫だよ。そんなに難しくないから。サクッと終わらせましょう! とりあえず宇田川さん、電源入れてもらってもいい?」
私は大きくうなずきながら、「いくら初心者の私でも電源くらいは分かりますよ~」と思ってMacを見ました。余裕な顔も秒で打ち砕かれました。Macを開いても、電源が見当たりません。あたふたしながら隣にいるエンジニアさんのMacを横目でチラチラと覗き見しましたが、電源らしいものは見つかりません。
挙動不審な私の様子に気付いた熊田さん。
「宇田川さん、電源はね、こうやって入れるんだよ。ちゃんと見ててね。ハッ!」
と言いながら画面に手をかざしました。すると電源が入ったのです! 目の前で魔法のようなことが起こって、私は理解できずおろおろ。その様子を見たエンジニアさんたちからは、いっそう大きな笑い声が上がりました。
熊田さんの隣に座っていたエンジニアの根住さんが、私を見かねて立ち上がりこう言いました。
「宇田川さん、信じたらダメですよ! 電源は、気合いじゃ入りませんからね(笑)。熊田さんは、宇田川さんがこわばった表情で探しているので、きっと和ませたんだと思いますよ」
根住さんはそう言って、電源の場所を教えてくれました。
私は顔を赤くしながら、「エンジニアさんは、皆さんこれができるんだと思ってビックリしてしまいました」と伝えると、私の周りに数人のエンジニアさんが集まり、丁寧にセットアップの方法を教えてくれました。和やかな雰囲気で会話が続き、セットアップも終盤に差し掛かったとき、根住さんが話し始めました。