エンジニア面接設定に関してのエピソードは前回をお読みください。
面接が始まる20分ほど前から、私は総合受付のあるエレベーター前で面接者が来るのを待っていました。
「面接が始まるまであと15分。ちゃんと来てくれるだろうか……神山さんの会いたい想いも伝えたから、きっと来てくれるはずだ」
ソワソワしながら腕時計を見つめていたそのときです。エレベーターからスーツを着た20代後半の男性が降りてきました。絶対にこの方に違いない! と思った私は、背後から声をかけました。
「こんにちは! ご来社いただきありがとうございます!」
男性が驚いた顔で私を見ました。その瞬間、頭の中に“理系男子にいきなり大きい声で話しかけたらダメ! トーンを抑えて端的に話すこと”という言葉が浮かびました。そこで、仕切り直して、私からもう一度話しかけました。
「谷川様でいらっしゃいますか? 私、本日“Find Job!”からご連絡しました人事の宇田川でございます」
そう言って私がお辞儀をすると、その男性は笑顔でこう答えてくれました。
「あっ、宇田川さんですね。今朝は、ご連絡いただきましてありがとうございました。谷川です。本日は、よろしくお願いいたします!」
なんという好印象でしょうか! この方ならウチのエンジニアさんたちとも、きっとフィーリングが合うのではないか、と働いている姿をイメージしながら会議室へご案内しました。
面接を行う会議室へ谷川さんをお通しした後、私は熊田さんにFacebookメッセンジャーでご案内が完了した旨を伝えました。すると、熊田さんから即レスがありました。
「OK! ありがとう。あとはこっちに任せて~」
エンジニア責任者の神山さんと熊田さんが私を見てうなずきながら会議室へ入っていきました。いよいよエンジニア面接が始まりです。居ても立ってもいられない私は、会議室の前を何往復したか分かりません。ときどき会議室から漏れてくる笑い声に、「大丈夫、きっとこの方は内定が出るはず!」と信じながら自分のデスクへ戻りました。
デスクに戻った後に私ができること、それは祈って待つことしかありません。心の中で「渋谷に一番近い神社は……明治神宮だ!」明治神宮の方角を向いて祈り始めました。
1時間が過ぎても神山さんと熊田さんは戻ってくる気配がありません。面接が長いということは、合格/不合格どっちなんだろう? という不安な気持ちに居たたまれなくなり、再び会議室へ向かいました。
会議室前で私がウロウロとしていると、突然ドアが開き、笑いながら神山さん、熊田さん、谷川様が出てきました。合否結果の行方に不安な気持ちを抱えながらも私は、3人の後から続いて歩き、お見送りをすることにしました。
谷川様が乗ったエレベーターが閉まった直後に神山さんが口を開きました。
「う~ん、どうしようかな……熊田さん、どうする?」
「そうですね……とりあえず会議室に戻りましょうか、宇田川さんも一緒に来てもらっていい?」