dodaは「転職市場予測2021下半期」を公開した。そこで以下のように予測を述べている。
2021年下半期(7~12月)の転職市場は、IT・Webを筆頭に、製造、金融、医療、化学・素材などの業界で求人数の増加が見込まれる。職種はITエンジニア、Webクリエイティブ、モノづくりエンジニア、建築・土木エンジニア、化学エンジニア、医療や金融の専門職、営業、管理部門(人事、経理、法務)、企画・マーケティングなど。
こうした求人増加の背景には企業のDX推進がある。新型コロナ感染拡大の以前から企業のDXへの関心は高まっていたが、感染拡大以降、さらにデータとデジタルを活用したビジネス変革や、ビジネスの非対面化・オンライン化は急務になっている。これらの成否が業績を左右しかねないという切実さから、人材ニーズの回復につながっている。
また、IT化やDXによるビジネスの変革を背景に、即戦力として期待できる経験者採用の求人ニーズが増加。社内に知見のない課題に対し、スピード感をもって解決できる人材を必要としているケースが多いことが要因となっている。
経験者採用が多数になる中でも、未経験向けではエンジニア系の職種や、金融・医療の業界で求人ニーズが見込まれる。また、コロナによって打撃を受けた販売・サービスや事務の職種では、欠員補充の目的から、求人が回復する可能性がある。
14の分野の詳細な予測
【01】IT・通信(ITエンジニア)
ITエンジニアは経験・未経験ともに求人数増加。 DXとフルリモート求人がトレンドに。
- インフラ系エンジニア、アプリ系エンジニア共に引き続き採用市場は活発
- 企業の即戦力採用傾向は継続。未経験者は、SESやSIerでの需要に注目を
【02】電気・機械(製造エンジニア)
電気・機械エンジニアの求人で注目すべきはIoT、半導体、工場の自動化・省人化など。
- 採用の動向は、業界によって差がみられる
- DXに貢献する技術領域や製品に関する求人ニーズは非常に高い
【03】建築・土木
建設業界は売り手市場が続く。資格保有者は下半期が転職のチャンス。
- 施工管理や設計の経験者は建築・土木・設備問わず、ニーズが高い状況
- 未経験者やキャリアが浅い人向け求人も回復傾向
【04】金融
金融業界でもIT・DXをキーワードにキャッシュレスや非対面型サービスの求人が増加。
- ビッグデータ活用やIT監査の需要の高まりをうける求人、M&Aなど事業承継に関連する企業の求人は増加予想
- 未経験採用については、保険業界の営業職などで今後も続く予想
【05】メディカル
メディカル業界はDX、新型コロナ関連の求人ニーズに期待。一部に未経験者ニーズも。
- 研究・開発業務のシステム化、バーチャル治験など医療業界にもDXの波
- CSO(Contract Sales Organization/医薬品販売業務受託機関)の一部企業では、セールス職の未経験者採用も
【06】営業
ITや製造業など幅広い業界で経験者の求人ニーズ増。カスタマーサクセスなど新しい時代に即した求人も増加。
- IT、SaaS(インターネットを通じてソフトウェアを提供しているクラウドサービス)、情報、通信、製造業で求人が活発に
- リモートワークやEC販売の急増を背景に、営業スタイルにも変化。カスタマーサクセスなど新しい時代に求められる営業職の採用が増加
【07】人事
人事は即戦力採用が引き続き堅調。IT・Web系など成長業界では未経験者の求人も微増傾向に。
- リモートワークやジョブ型雇用など人事の課題に取り組む人材のニーズが高まる
- 即戦力採用は引き続き堅調、また、IT・Web業界では、未経験求人も若干だが増加予想
【08】経理
経理の求人ニーズはIT、Webサービス、医療系などで増加の見込み。
- IT・Webサービス関連や医療系などは、管理部門の体制強化が想定されるため、経験者の求人が増加予想。
- 税務知識、語学力、IPO(株式上場)、IFRS(国際会計基準)対応などが転職のカギに。
【09】法務
法務はビジネスのIT化・リモート化を背景に求人ニーズが増加。
- 「事業を推進する(攻め)」と「リスク管理をする(守り)」の両面のニーズから求人は増加予想
- 未経験者の求人ニーズも少しずつ増加
【10】企画・マーケティング
企画・マーケティングはコロナ禍でも影響が少なく、引き続き即戦力重視の求人が多数。
- コロナ禍を機に高まったデジタル化・業務改善・生産性向上などの推進能力に期待が高まる
- デジタル化を背景にWebマーケターへの需要が増加を続ける
【11】販売・サービス
販売・サービスはコロナ下でも成長している会社で欠員補充などの求人が回復予想。
- 新型コロナを逆手にとって成長する中食・デリバリー、物流、EC、シェアオフィスなどの求人が増加予想
- EC(Eコマース)管理、SNS担当といったEC・ネット販売・オンライン販売分野のスタッフや、シェアオフィスのオフィス拠点長、運営スタッフなど、今までになかった求人も見込まれる
【12】事務・アシスタント
事務・アシスタント職は、コロナ禍で業績を維持・向上している企業で、欠員補充のための経験者採用の可能性。
- AIやRPAの普及、アウトソーシングの活用が求人ニーズに影響
- 引き続き経験者が有利な状況。汎用的なビジネススキルを前提として、業務や業界の経験などが転職成功のカギに
【13】クリエイティブ(Web系)
Webデザイナーなどクリエイティブの求人は堅調に増加の見込み。
- DX推進、UI/UX、運用・分析、VRなどの経験者にはさらに有利に
- Web系職種(Webデザイナー・Webディレクターなど)の求人ニーズは堅調も、選考は慎重な傾向
【14】化学・素材
化学・素材の求人は経験者・未経験者ともに増加。
- 2021年下半期は積極的な人材投資が進むため、求人は増加予想
- 新型コロナの影響により人事制度の変更を実施した企業もあることから、大手企業に管理職の中途採用の動きも