SmartHRは、「人事評価業務」をテーマにした調査を、人事労務担当者および経営者、一般従業員計1067人を対象に実施し、結果を発表した。調査期間は2021年8月16日〜20日。
「以下の人事・労務業務において、あなたの勤め先で課題と感じているものは?」との設問に対し、「人事評価制度の定着、評価者スキルの向上」を選択した割合は経営者、人事評価担当者ともに40%を超え、強い課題感を持っていることが明らかになった。さらに、「人事評価業務の効率化(評価材料の収集)」と「タレントマネジメント(人材の適正配置)」について全体の34%が課題を感じており、非効率な業務負担によって人材活用への課題に着手できていない様子がうかがえる。
「評価関連業務において、あなたのお勤め先で課題と感じているものを選択してください(複数回答)」の問いに対し、「過去の評価データが一元管理できていない」を選択した割合は人事評価担当者45.7%、経営者が42%とともに高い結果となった。次に「評価シートの準備、配布、回収に工数がかかる」と回答した割合は全体で40%を超える結果となったが、経営者で選択した割合が40%であったのに対し、人事評価業務担当者が選択した割合は46%と、課題認識に差があることが明らかになった。
また、評価作業に対する「心理的負担」を課題に感じている割合は、経営者は35.6%と約3割にとどまったのに対し、人事評価業務担当者は40.1%が課題を感じており、業務負荷や心理的な負担に対して経営者と担当者で乖離があることが分かる。
「各評価業務をどのように行っていますか」という設問に対し、いずれの項目でも「紙のみ」や「ツールの併用」によって対応している割合は合わせて20%を超え、システムで完結していると回答した割合は3割程度にとどまっていることが分かった。また、評価専用システムではない表計算ソフトで評価業務を行っている割合はいずれも全体の30%以上を超え、高い結果となった。
先の設問「評価関連業務の課題として、当てはまるもの」で「転記作業のミスなどが許されないため、心理的負担が大きい」を選択した割合は「紙と他ツールの併用」と回答したグループ内の数字が最も高く、55%に上った。評価業務に紙やExcelなど表計算ツールなど、専用システム以外を使用しているほどに心理的負担は大きく、多くの企業で課題となっていることが見て取れる。
さらに、「評価シートの準備、配布、回収」「報酬額変更などの通知書類作成、配布」にかかる工数を負担に感じている割合もツールを併用している会社ほど高く、特に「紙と他ツールの併用」で行っている回答者は65%が負担を感じていることが明らかとなった。「紙と他ツールの併用」と「システムのみ」している回答者では約30%の差があり、ツールをまたいでの作業による業務担当者の負担の大きさがうかがえる。
「評価関連業務にどのくらい時間をかけていますか」の問いに対し、全項目で経営者が人事評価業務担当者よりも短い時間で回答し、評価業務にかかる時間への認識に差があることが認められた。
さらに、上の設問で最も長く時間がかかるとされた「評価データの集計」において、企業規模別に分析したところ、1001名以上と51~100名以上では経営者と評価業務担当者の認識に大きな差がなかったのに対し、101~300名以下と301~1000名以下の企業規模では2時間以上の乖離があることが分かった。全企業規模において、経営陣の認識以上に実務担当者の業務負担時間は長いものの、1001名以上規模の企業では負荷を可視化できている傾向にあることが見て取れる。