MyReferは、同社が運営する「リファラル採用研究所」にて、ビジネスリサーチラボ 代表取締役 伊達洋駆氏と「日本の人材市場におけるリファラル採用に関する共同研究」を1532名の協力のもと実施し、結果を発表した。調査期間は2021年9月2日~30日。
1. 紹介行動がもたらす効果
(1)「紹介したいと思うこと」と「実際に紹介したこと」が組織市民行動につながり、組織パフォーマンスが向上し得る
<結果>
- リファラル採用が認知されている職場において「紹介意思」と「組織市民行動」は中程度の相関がある
- 「紹介した人」は「紹介していない人」よりも組織市民行動が高い(共分散分析で有意な平均値差)
<解説>
「組織市民行動」とは、会社のためになる自発的な役割外行動を指す。組織市民行動を行うほど離職しにくく、組織市民行動を行う人が多ければ会社が円滑にまわり、パフォーマンスが高まると立証されている。今回、紹介意思や紹介実施が組織市民行動に影響を与えることが分かった。そのため、会社として紹介行動をとる従業員を増やせば、組織市民行動をとる従業員を増やすことにもなり、会社のパフォーマンスを高めることにもつながり得る。リファラル採用に力を入れることは、採用の成果は勿論、会社の成果にも影響することが示唆される。
(2)会社への帰属意識が「紹介意思」を促進し、「紹介した友人の入社」が愛着を向上させる
<結果>
- 「会社への帰属意識」が「紹介意思」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
- 「紹介して友人が入社した人」は「紹介したが入社していない人」よりも愛着が向上する(共分散分析で有意な平均値差)
<解説>
会社への帰属意識の高い人が「知人・友人に自社を紹介したい」と思っており、紹介実施につながる。紹介した友人が入社すると、その後の会社への愛着が高まることが分かった。つまり、愛着を持っている人をリファラル採用活動に巻き込むことで、ポジティブなスパイラルが回る。そのため、リファラル採用活動データを可視化して社員のファン度合いを見ることや、サーベイを実施して隠れファンを探すことが第一手となる。ファン社員を巻き込んでリファラル採用を推進していくと、さらに愛着が高まり、組織のエンゲージメント向上にも寄与するだろう。
2. 紹介行動をとる要因
(1)「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が紹介意思を促進し、紹介行動につながる
<結果>
- 「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が「紹介意思」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
- 「紹介意思」が「紹介実施」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
<解説>
「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が紹介意思を高め、それが紹介実施につながっている。また、実際に「求職中の知人数」が何人いるかどうかも影響を持っている。まずは着実に紹介意思を醸成し、その上で知人・友人との連絡を継続的に取るように促すのが有効だろう。
(2)「リファラル採用で入社した人を見た」ことが紹介行動につながる
<結果>
- 「リファラル採用で入社した人を見た」ことが「紹介実施」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
<解説>
「リファラル採用で入社した人を見た」ことも紹介実施に大きな影響を与えると分かった。紹介意思の有無とは別で、周りにリファラル採用で入社した人がいる「身近さ」や「受け入れ体制」が紹介実施を促していると考えられる。ただリファラル採用を促すだけではなく、実際に紹介で入社した人の従業員体験をデザインし、立ち上がりや活躍をフォローしていくことが次の紹介につながる。会社に愛着を持っている人に協力してもらい成功事例を作り、リファラル採用で入社した人の事例を社内広報していくことが有効だと考えられる。