人事情報、勤怠データ、目標・評価の履歴など、組織内にはピープルアナリティクスの源泉となるデータが豊富にあります。しかし、いざ分析を始めようとするとき、多くの人事が直面するのは「どのデータから手をつけるか」という問いです。そこで、ピープルアナリティクスの第一歩としておすすめするのが、「組織サーベイ」です。サーベイは単なる従業員アンケートではありません。従業員のモチベーションや満足度、エンゲージメントといった、目に見えづらいかつ「従業員が今何を感じているのか」という極めて重要な主観情報を、構造化されたデータとして収集するための強力なツールとなります。今回は、組織サーベイの設計に入る前に、まず人事におけるサーベイの本質的な価値について、そしてサーベイを「やりっぱなし」にせず、人や組織のアップデートにつなげるための考え方について解説します。
人事でサーベイが注目される理由
現代のビジネスにおいて、「データに基づいた意思決定」は重要な要素の1つです。人事部門についても例外ではなく、かつての「勘・経験・度胸(KKD)」といった感覚だけに頼ることはできません。
人事でサーベイが注目される背景・理由には次の3つがあります。
労働市場の変化
人材の流動化が進み、終身雇用が前提ではなくなりました。また、働き方の価値観も多様化しています。企業が優秀な人材を惹きつけ、つなぎとめるためには、多様な価値観を理解し、従業員の体験(EX:Employee Experience)を向上させることが重要です。そのために、個々の従業員が主観として何を感じ、何を求めているのかを正確に把握する必要があります。
人事の役割の変化
人的資本経営の考え方が浸透し、人事はオペレーションだけではなく、経営目標の達成に貢献することも期待されるようになりました。人事施策が従業員のパフォーマンスにどうひも付き、企業や事業の成長に結び付くのかを、客観的な指標を用いて経営と話せることが求められています。サーベイは、従業員のエンゲージメントを指標化し、人事施策の効果を可視化するための役割を担っています。
データ技術の進化
HRテクノロジーの進化でさまざまなツールが開発され、オンライン化によりサーベイの配信や回答、集計のハードルが大幅に下がりました。多くの従業員を抱える大企業であっても効率的にサーベイを実施できるようになり、週次や月次など定期的なサーベイを行って定点観測することも可能になりました。
以上のような背景から、感覚的な人事から、データを起点とした戦略的人事への転換が強く求められるようになり、サーベイの活用が注目されるようになりました。
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友部 博教(トモベ ヒロノリ)
東京大学大学院で博士号を取得後、東大、名古屋大、産総研などでコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、アプリゲーム分析およびマーケティング分析などの部署を統括、その後ピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。現在はビズリーチ WorkTech研究所 ...
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