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インタビュー | 東京都庁の人事給与システムの現状と再構築プロジェクトの展望を聞く

東京都庁が「人事給与システムの再構築プロジェクト」に挑む!“マウスでなくFキーで操作”から脱却へ

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 東京都庁では現在、約3万人の知事部局等職員を支給対象とした人事給与システムの再構築プロジェクトが進行している。長年にわたり改修が重ねられてきた人事給与システムは、計算ロジックが複雑化し、データ連携やUI/UXにも課題を抱えていた。このシステムの再構築に挑んでいる1人が、東京都 総務局 人事部 制度企画課 人事システム担当(システム企画)、いわゆる「ICT職」の木下慶亮氏だ。ITに関する実務経験がない状態からICT職としてのキャリアをスタートし、現在は同プロジェクトの担当者として奮闘する木下氏に、これまでの歩みや現行の人事給与システムの課題、再構築プロジェクトの展望などを伺った。

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巨大システムの再構築に挑戦中!「行政」と「デジタル」をつなぐICT職として

——まず、「ICT職」とは、都庁においてどのような役割を担うのでしょうか。

 ICT職は、私が入庁した2021年より新規採用を開始した職種です。都庁のDXを推進する中で、その中心となる人材を確保したいという背景から設置されました。都庁職員の一番の使命は「都民への利益の還元」ですが、そのためには政策を立案・実行する「行政」の部分と、それを円滑に進める「デジタル」の部分が不可欠です。私たちICT職の最も重要な役割は、この行政とデジタルの間をつなぐ「橋渡し的な存在」になることだと考えています。行政として「何をやりたいのか」を深く理解し、それを「システムでどう実現できるのか」を考え、うまく調整していくことが求められています。

木下 慶亮氏

木下 慶亮(きのした けいすけ)氏

東京都 総務局 人事部 制度企画課 人事システム担当(システム企画)

2021年3月に東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程 修了。2021年4月に東京都庁 採用(ICT職)、総務局人事部制度企画課人事システム担当(給与システム運用担当) 配属。都職員の一部約3万人への例月給与支給・期末勤勉手当支給・年末調整・明細等配信業務を担当。2024年4月に総務局人事部制度企画課人事システム担当(システム企画) 配属。人事給与システムの再構築プロジェクトを担当。現行システム調査・ユーザーヒアリングを実施。次期システムの要件定義を実施。

——木下様は、どのような業務からICT職としてのキャリアをスタートされたのですか。

 私の場合は、都民向けのサービス開発ではなく、都庁の内部システムを担当することから始まりました。1年目から3年目までは、主に給与システムの運用担当として、職員の給与計算や年末調整、給与明細の配信といった業務に携わっていました。そして4年目となる昨年からは、現在進行中の人事給与システムの再構築プロジェクトで、主に給与機能の要件定義などを担当しています。

 この給与機能は、東京都の職員の中の、知事部局など約3万人の職員を対象としています。再構築プロジェクトは昨年度から始まっており、2年間かけて現行システムの調査や、新しいシステムの要件を詰めている段階です。

——3年間の運用経験を経て再構築に携わるという流れは、当初から想定されていたのでしょうか。

 いえ、まったく想定していませんでした。都庁では、2~3年で異動することが多いのですが、上司との面談の際に「まだ給与システムに携わりたい」という気持ちを伝えたところ、幸運にもこの再構築プロジェクトに参加させてもらえることになりました。結果的に、運用担当として給与システムの課題を肌で感じた経験が、今の再構築プロジェクトに非常に役立っています。

とにかく複雑な現行システム…… 「画面の閉じ方が分からない」

——運用を担当されていた現行の給与システムには、どのような課題がありますか。

 最も大きな課題は、「複雑さ」でした。現行システムは、長年の制度改正のたびに改修が積み重ねられてきたため、給与の計算ロジックが非常に複雑化していました。何か問題が起きたときに、「なぜこの計算結果になるんだろう」と原因を調べるだけでも、過去の膨大な改修履歴をさかのぼる必要があり、一筋縄ではいきませんでした。

 また、人事システムと給与システムが分かれているため、給与計算を行う前に双方のデータ連携が必要です。しかし、その連携の過程でデータの不整合が起きることもあり、その監視項目が山のようにあって、確認作業に膨大な時間がかかっていました。

——公務員は、雇用制度も複雑なイメージがあります。

 そうですね。職員の種別(一般職員、再任用職員、会計年度任用職員)ごとにサブシステムが分かれているのも、給与システムの課題です。1つの制度改正に対応する際も、それぞれのサブシステムを個別に改修する必要があり、作業が単純に3倍になってしまう非効率な部分がありました。さらに、一般職員といわれる人の中にも役職や任期の違いがあり、会計年度任用職員にいたっては、人によって勤務時間数も違えば、報酬も異なります。こういった雇用パターンの多さも複雑さを増す要因の1つです。

——ユーザーである職員にとっての課題はありますか。

 古いシステムなので、たとえばデータの入力にはマウスが使えずファンクションキーで操作したり、プルダウンメニューのような直感的なものではなく、コード表を見ながら数字のコードを直接入力したりする必要がありました。私自身、最初配属されたときは「画面の閉じ方すら分からない」という状態で、非常に戸惑ったことを覚えています。数年で担当者が変わる各所属の職員にとって、習熟が難しいシステムだと思いますね。

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目指すは“柔軟”で“負担の少ない”システム 人事データ活用の展望は?

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この記事の著者

関口 達朗(セキグチ タツロウ)

フリーカメラマン。1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014年から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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