サステナブルな経営を目指し、健康に着目
——貴社では葉山さんが自ら音頭をとって健康経営に注力していると伺いました。なぜ健康経営を始めたのですか。
私は「開発学(Development Studies)」の修士号を持っています。開発学とは、よりよい国や世界を目指して持続的な開発を探究する学問で、SDGsの「D」に当たります。これを学んだ経験から、サステナビリティ経営が大事だという意識がありました。
当社のサステナビリティ経営のマテリアリティは4つあります。「人」「データ連携」「ガバナンス」「環境」で、特に「人」を最重要事項だと考えています。人がいて初めて企業が成り立つからです。
企業活動では「いかに売上を上げて利益を確保するか」も重要ですが、同時に「働く人たちの人生を豊かにする」ことが重要です。この両輪をうまく回せたときに企業が存続するからです。
そこで、「社員たちをどう幸せにするか」を考えたときに、基本になるのは「健康」だと行き着きました。これが健康経営の起点になっています。

葉山 誠(はやま まこと)氏
株式会社セゾンテクノロジー 代表取締役 社長執行役員
1997年株式会社サトーに入社。同社の常務執行役員、海外支社代表などを経験。早稲田大学大学院にてMBA、英・サセックス大学にて開発学修士号を取得し、英国から帰国後、地球環境戦略研究機関で民間企業の脱炭素化を支援。2022年6月に株式会社セゾン情報システムズ(現 株式会社セゾンテクノロジー)代表取締役社長に就任。2024年4月より現職。
——2022年に社長に就任された瞬間から、健康経営に取り組むと決めていたのでしょうか。
そうですね。私は以前、日本の製造業でヨーロッパ法人の社長をしていました。そこでヨーロッパの人たちが、1ヵ月夏休みをとって家族と過ごすなど、自分の生活を大事にしているのを近くで見ていたからかもしれません。「経営だけうまくいったらいい」という社長にはなりたくないと思っていました。
短期的に事業がうまくいっても、ステークホルダーが満足していなければビジネスは持続しません。健康経営への投資は、そのための必要なコストと捉えることができます。
そもそも、製品やサービスの創出も、短期的に達成できることではありません。経営者としては異例かもしれませんが、全社で短期的な利益追求はしないようにしています。