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障害者と共に働くときの心構えとノウハウ | 第2回

障害者差別解消法を従業員が遵守するための教育とは

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 日本ケアフィット共育機構の佐藤です。弊機構は高齢者や障害のある人との良好なコミュニケーションを学ぶ資格「サービス介助士」を運営しています。さて2021年6月、「障害者差別解消法」の改正法が公布されました。障害者の社会生活の制約となるバリアを取り除くための“合理的配慮”の提供が、事業者にも法的義務化されます。配慮の対象者や対象となるシーンは多く、一部の人員だけが知っていればよいというものではありません。本記事では、障害者差別解消法を企業コンプライアンスとして遵守するためにどのような教育を従業員に実施すべきかを解説します。

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障害者差別解消法と合理的配慮提供とは

 障害者差別解消法(正式名:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)とは、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指す法律です。同法では、主に次の2点が定められています。

障害を理由とした不当な差別的取り扱いの禁止
正当な理由なく、障害者の入店を拒否する、あるいは入店に制約・条件をつけるといった不当な差別的取り扱いを禁止する。
合理的配慮の提供
障害者の社会参加の制約となるような“社会的障壁(後述)”に対し、障害者から要望があったときにその除去をするための合理的な配慮を提供する。

 不当な差別的取り扱いの禁止は、自治体などの公的機関・民間事業者どちらも法的義務です。一方、合理的配慮の提供は2022年5月現在、自治体は法的義務、民間事業者は努力義務となっています。2021年6月に改正法が公布され、民間事業者も法的義務となりました。法律が実際に効力を持つ施行は公布から3年以内にされることになっています。

教育内容に盛り込むべきポイントとその方法

 障害者差別解消法を遵守するために、同法を理解した上で、どう対応するかについては、対象者や現場により異なります。全社員一律でできるものもあれば、その職場の事例に合わせた検証が必要なものもあります。以下では、従業員に障害者差別解消法を企業コンプライアンスとして遵守してもらうための教育の進め方を紹介します。

①障害者差別解消法の理解【講義・教材|全従業員対象】

 まず、障害者差別解消法とはどのような法律なのか、障害者への差別的取り扱いや社会的障壁、合理的配慮とは何か、など同法の概要を理解してもらいます。この段階は同法に対するガイダンスといった位置づけで、自治体や行政が発行しているパンフレットや、eラーニングの動画教材などを使って周知を図ります。

 ここでいう“全従業員”とは、管理者・正社員だけでなく、アルバイトやパートタイム勤務者も含みます。さらにいうと、例えば複合商業施設であれば、テナントに入る事業者や、警備・受付業務を委託している事業者・派遣従業員に対しても、同法の理解を徹底する必要があります。過去には、商業施設の管理会社では従業員に障害者差別解消法について周知を行っていたものの、テナント先のアルバイト従業員が障害者の入店拒否をしてしまい、事件になったことがあります。

 新入社員であれば、入社時オリエンテーションの一環に盛り込みましょう。

②同業他社や自社内の差別事例・合理的配慮事例の共有【講義|役職別・職種別】

 同業種や、もし自社で過去に差別事例が発生していれば、どういったことが差別に当たるのかを従業員に知ってもらうため、社内で共有しましょう。

 社内に事例の蓄積がなくても、自治体が障害者差別解消に関連する条例を成立させる際に、差別と思われる事例を市民から集めている場合があります。また、内閣府では合理的配慮の事例とともに差別事例を掲載しています。

 事例は全従業員対象の通信教育などに盛り込むこともできますが、できれば個別研修を実施し、ケーススタディとして対象従業員を絞って、より実務に近い事例を提示することが望ましいです。また、社内アンケートを実施し、現場や従業員が実際に対応に困った事例を収集し、事例共有とともに本社による対応指針を提示すると、従業員の判断材料になります。

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この記事の著者

佐藤 雄一郎(サトウ ユウイチロウ)

公益財団法人日本ケアフィット共育機構 経営企画室室長。2014年公益財団法人日本ケアフィット共育機構入構。年間1万人近く受講する"サービス介助士"の講習運営に携わる中で、ダイバーシティ&インクルージョンに関わる企業や障害当事者とのネットワークを広げ、企業の垣根を超えたコラボレーションや事業者と障害当...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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